2015年10月24日
~若者の現状を知る、関心を持つ~7回連続無料セミナー 第3回「多様な若者像の理解②」 開催レポート
第3回セミナーは、46名が参加。今回も二部構成で開催した。
第1部は、「国籍や文化の違いを超えて」と題し、NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-NET)高橋清樹様よりお話しをいただいた。
冒頭、さまざまな国籍や文化的背景を持った子供たちが日本で増えている状況をご説明いただき、特に神奈川県の特徴として、
・様々な国や文化のルーツを持つ方が多く、中にはかつて難民だった人もいる
・日本語指導の必要な高校生が多い
の二点を挙げられていた。この日本語が多い高校生が神奈川に多い理由として、公立高校が日本語の出来ない生徒を受け入れている環境があること。他方、他県では、入試の段階で日本語の出来ない生徒を足切りしている現状があることにも触れられ、神奈川県の対応が他県と異なることを丁寧に説明されていた。ME-NETでは、そうした背景も踏まえて、高校に入る前、高校の在学中、高校を出た後と、それぞれの若者の状況に応じた支援を行っているとの説明があった。
話の中で高橋さんが特に協調をされていたのが、彼らの社会参加である。日本人が望むか望まないかに関わらず、今後日本には多くの移民がやってくるであろうこと。そうした移民も含めて、国籍や文化の違う親が入ってきて、その二世、三世となる子供たちにどう日本の社会に参加してもらうかを我々が考えなくてはいけない点を強調されていた。
会場からも、どのような点が国籍や文化の異なる若者への支援を行う上で壁になっているのか、という質問があったが、これに対しても、高橋さんは行政に移民に関する政策がまず無い点を指摘され、日本にずっと残るであろう若者たちの支援の重要性に触れられていた。
第2部は、「LGBTを超えて」と題し、NPO法人SHIPの星野慎二様よりお話しをいただいた。
SHIPは2009年より、県と共同でLGBT啓発の活動を始めており、LGBTを抱える若者たちが学校や社会で孤立せずに済む環境作りに取り組んでいること。しかし教育の現場では、LGBTが未だタブー視されており、例えば先生がLGBTの人を「気持ち悪い」と言ったり、生徒の間でホモやゲイの存在が笑いの対象となっている現実があること。当事者の若者がそれを目の当たりにして、家庭や社会の中だけでなく学校でも孤立感を深める現実があることを、事例も交えながら丁寧に説明された。
また、LGBTの若者には精神障害(うつ)の罹患者や、自殺未遂者が多いことにも触れられ、そうした背景にも、当事者の孤立感があるとの解説がなされた。その一方で、そうしたLGBTの若者たちの存在を利用する大人がおり、女子高生を対象としたJKビジネス(第2回レポート参照)と同様に、LGBTに悩む若者とたちが性的な搾取の対象になる現実についても、ストレートに語られていた。
そして話の後半では、性同一性障害を抱える二人の若者(高校生と大学生)も登壇。当事者の口から、自らの経験や思いなどを語ってくれた。
高校生の彼は、高校進学をきっかけに親にカミングアウトをしたこと。それを親からも、また通っている定時制の高校からもある程度受け入れてもらえていること。その一方で、学校ではまだ一部の友人にしか自分のことを話せていないこと。
また大学生の彼からは、これから社会人として社会に出ていくことを踏まえ、心の性と身体の性を一致させておきたいという希望があること。そのために、ホルモン治療を始め、将来的には外科手術も考えていることなどが語られた。
今回は第1部と第2部とでテーマが全く異なる回となったが、長時間のセミナーにも関わらず、参加者からは熱心に話を聞き、メモを取るなどの姿が見られた。
参加者の声:
・(多文化共生について)日本語の勉強も大事だと思いますが、習慣やマナー勉強を一緒に
考えるのも、外国の方が日本社会に入っていくために大事な要素だと思います
・多文化共生、LGBTについて触れる機会が持てたことがよかったです。
普段、自分がいかに先入観にとらわれて物事を判断しているかということに気付かせていただきました
・LGBTのお話は非常に勉強になりました。自分もそうした若者たちの対応をしてきたので、
虹色キャビンさんのことを早く知りたかったです
・LGBT当事者のお二人が話をしてくださった事に感謝致します。当事者でなければ判らない
苦しさを少しではあると思いますが知る事が出来ました
※参加者の声、を追記しました