2015年11月20日
~若者の現状を知る、関心を持つ~7回連続無料セミナー 第5回「若者達の社会体験の場」 開催レポート
第5回セミナーでは、24名が参加。
第一部は、若者達と共同で社会体験の場つくりをされた横浜市社会福祉協議会寺尾センターの三ツ橋健氏より「社会体験の受入事例」としてまずお話をいただいた。
三ツ橋氏からは、冒頭地域センターを情報や人が交差する場としたい思いが伝えられた。そして今回センターで若者の受け入れの場を「ドッグカフェ(犬好きな方が集うカフェ)」という形で実現させたが、それはまずは自分が若者達と共同でなにか企画をやってみたいという思いがあったこと。そこから何かが生まれるかもしれないという期待や楽しみがあったことなどが、熱く語られた。
そしてカフェを実際にやってみた感想として、受け入れた若者たちが自分から進んで動く姿がさまざまな場で見られたこと。またそうした若者たちの姿を通じて、その場に集った人たちにとってもカフェが良い雰囲気の居場所になっていったことなどのお話があった。
三ツ橋氏はそうした自らの経験を通じ、若者達を受け入れることにおいては、彼らも、自分たちも、そして周囲の人たちにとってもフラットな関係作りが大切であること。それが誰もがリラックス出来ることにつながること。自分も若者達と一緒に楽しみたいと思うこと。そうした思いを通じて若者達の中に飛び込んでいった結果、自分も彼らと仲間になることが出来とことが感想として語られた。
そして引き続き第一部として、認定NPO法人育て上げネットの渡辺信之氏より、「商店街での受入事例」と題し、主に東京都の立川市内で行っている若者の社会体験の受入事例についてお話をいただいた。
この中で渡辺氏からは、まず「ジョブトレ」と題して行われている若者の就労に向けたトレーニングプログラムがあること。そのトレーニングの一環として、スーパーの西友と共同で行われている就業体験のプログラム(西友パック)、商店街や地域での社会体験の場を若者たちに提供しているとの説明がなされた。その後は、動画や写真を交えながら、各就業体験や企業との連携で行われたイベントでの若者達の活躍の様子。そして、御用聞き、と呼ばれる地域の困りごとへの協力活動などが紹介された。
特に会場からの関心を引いたのが、御用聞きのプログラムであった。これは、草むしりや電球の交換といった地域の方々から寄せられるさまざまな困りごとに対してジョブトレに参加する若者たちが出向き、その解決に協力するという活動である。渡辺からは、こうした活動を通じ、若者たちが就労につながる体力を身に付けられることや、人とのコミュニケーションを経験し、そして人から感謝されることを通じて自信ややりがいを得る場になっていることなどのお話がなされた。
その後は、育て上げネットの蟇田薫を司会進行役に、三ツ橋氏、渡辺氏の三者で若者の社会体験についての対談及び質疑応答が行われた。
この中で、二人の登壇者が共通してどんな若者にも可能性があること。それを信じることが大切であり、実際に何かをする場を提供すれば、若者たちは自分から行動出来る存在であることに触れていたのが非常に印象的であった。一方で、そのためには時間をかけて若者たちの変化を待つことも必要であること。掃除など日常的なことでも、基礎から教えてあげないといけないこともあり、そうした苦労が現場にはあることなども正直に語られていた。
こうした発言や説明に、大きく頷いたり、驚きの声が上がるなど、参加者からは今回も積極的な反応が見られた。
参加者の声:
・講師の2人の人間性の大きさを感じました
・「西友パック」のような若者の受け入れに参加する企業が増加すると良いと思いました
・今回は鶴見での取り組んでいる方のお話が興味深く、さらに支援のための行動を進めたり、学んだりしていきたいと思いました
・御用聞きサービスの社会的な役割はとても大きいと思いました。就労前のトレーニングの場としての役割と独居老人等を結び付ける機会になっていると思います