2015年11月02日
~若者の現状を知る、関心を持つ~7回連続無料セミナー 第4回「多様な若者像の理解③」 開催レポート
第4回セミナーでは、52名*が参加。
第一部は、まず、「発達障害とは?~困難を抱える若者についての理解~」について、横浜ハビリテーションクリニックの日原信彦氏からお話をいただいた。
「発達障害者は、学齢期から他人と自分の違いを感じ取るようになる。それはすなわち、「傷つく」機会が増えることを意味する」とあり、発達障害者の生きづらさのスタートを聞くことができた。
「社会性、コミュニケーション、イマジネーション、そのひとつひとつを見ていくと、世の中の人は全部苦手といえる。しかし、その3つがある一つの場面でなんらかの形で同時にできない現象が起きたとき、発達障害者は「生きづらさ」を感じる。そんなこと誰しもあるから頑張りなさいよ、ではなく、その人の特性から、私たちの環境と重なる部分がきっとあるからそれを一緒に見つけていこうよというために私は診断している」という話は、発達障害に関わる医師としての温かく前向きな言葉であり、多くの参加者を惹きつけた。
続いて、発達障害者のコミュニケーション支援について、東京都成人発達障害当時者会イイトコサガシ代表の冠地情氏からお話を伺った。
冠地氏自身、アスペルガー症候群とADHD(注意欠陥多動性障害)の混合型という診断を受け、これまで42都道府県都内45区市で1000回以上のワークショップを開催している。
「個性・特性・障害」という言葉を用いながら、「特性が個性ではなく、障害になる人はどういう人なのか?」ということについて、経験を踏まえて導き出した5つの要因に、熱心にメモを取る参加者が多かった。
「発達障害者は、「成長に時間がかかる」と自覚する必要がある。また、人よりもたくさんの人が関わる必要がある人。人よりもお金がかかり、人よりも色々な選択肢が必要な人。人よりも労力がかかる人だと、自分も周囲も自覚する必要がある」と話し、
「自分自身、多数派の論理の中で成長しているかと言われたらわからないが、自分なりに成長曲線をしっかり描いている。特性を障害にしないためには、「発達障害」の概念を変える必要がある。発達する機会を喪失しているということで、発達機会喪失障害であり、大器晩成型といえるのではないか」と、発達障害のイメージを明るく変えた力強い発言は、多くの当事者や支援者を勇気づけた。
第二部は、「若者の体験談」について、よこはま東部ユースプラザの利用者3名にご登壇いただいた。来所のきっかけ、ユースプラザでどんな過ごし方をしているか、来所してから自分が変わった点等の質問にしっかりと答える姿に参加者は見入っていた。
とくに、「地域の方々に伝えたいことは?」という質問に対し、「困難を抱える若者に対して誤った評価をせず、まずはその若者を知ってから、接してほしい」、「話しかけて、接してほしい」、「子どもが学校にいけないことの理由をしっかり聞いてほしい」と三者三様に答え、困難を抱える若者に関わるヒントを示していた。
来所時には全く話さなかったり、仕事への道筋が見えていなかった利用者が、しっかりとコミュニケーションができるようになったり、就活や就職ができたりというような変化の報告を見聞きし、「温かい時間だった」「感動した」と感想を言ってくれた参加者もいらした。
今回も多くの方々にご参加いただいた。長時間のセミナーにも関わらず、メモを取りながら相次ぐ質問の姿に、熱心に話を聞き入る姿が印象的だった。
参加者の声:
・冠地さんのお話、すごくよくわかり、感動しました。あと3時間、お話が聞きたかったです。
・日原先生のお話では、支援する側の立場や考え方がよくわかり、心を打たれました。
・今までの回で一番感動しました。ユースプラザの利用者の皆さんも緊張なさっていたでしょうが、生の声を聞けたことが有難かったです。
・環境のつくり方などすべてに共感しました。同じことを考えていたので嬉しかったです。
・勇気ある一歩をありがとうございました!
*11/5 参加者数を訂正しました