2015年07月10日
無業の若者4人に3人は過去に就労経験あり
~若年無業者の職歴データ分析~
若年無業者の4人に3人は就労していた経験を持つ。3類型ごとに職歴を確認すると、「求職活動を行っている人」では正社員経験がある人の割合が高い一方で、「就職希望を表明していない人」では職歴を持たない人の割合が高くなる。職歴があるかないか、これは働き始めることの困難さと大きく関連している可能性がある。
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本トピックスでは、NPO法人育て上げネットが実施した調査研究『若年無業者白書~その実態と社会経済構造分析~』を基に、無業の若者について
・求職活動を行っている「求職型」
・就業希望はあるも求職活動は行っていない「非求職型」
・就職希望を表明していない「非希望型」
に分類した調査研究結果をご紹介しています。
無業の若者について「これまで働いたことがなく、現在も働いていない若者」というイメージを持たれるかもしれない。果たしてこうした無業の若者イメージは正しいのだろうか。
図「職歴区分」は若年無業者の職歴について明らかにしたものである。若年無業者全体でみると、正社員経験がある人は33.6%、職歴はあるが非正規職歴のみの人は41.9%であり、若年無業者の実に75.5%が過去に就労していた経験がある。
このように、現在の状況のみを見れば確かに就労していないが、過去にも目を向けると若年無業者がかつて働いていた姿も確認することができる。
さらに、職歴はあるが非正規職歴のみの人が41.9%という事実も注目すべきであろう。アルバイトやパート・契約社員といった非正規という働き方は、正社員と比べ安定した働き方が保証されておらず、無業になるリスクが高い。職歴はあるが非正規職歴のみの人で、現在若年無業である人は、非正規という働き方の無業になるリスクが顕在化した状態であると捉えることもできる。
3類型ごとに職歴の状況が異なっていることも図「職歴区分」から確認できる。正社員経験がある人の割合に着目すると、求職型とそれ以外の2類型(非求職・非希望型)で大きく異なっている。正社員経験がある人は、求職型においてはおよそ過半数である48.8%なのに対し、非求職型では23.8%、非希望型では19.5%となっている。
職歴のない人についても3類型ごとに特徴があり、求職型では10.9%であるのに対し、非求職型では28.9%、非希望型では44.7%となっている。
これらデータから、同じ無業者でも3類型によって正社員経験の有無・職歴の有無が大きく異なることが確認された。
どのような仕事に就けばよいかイメージを持ちやすい、働くことに対して自信が持てるなど、過去に職歴があることによる影響はいろいろあるだろう。
次に、職歴が3類型にどのような影響を与えているのか、それらを具体的に明らかにするために、別トピックにてさらなる分析を行いたい。