トピックス 若年無業者の実態

2015年04月10日

若年無業者の77%が親と同居
~若者全体の「親と同居」比率と変わらず~


若年無業者の多くは親と同居することで生活している。親と同居しているということ自体が批判の対象になりやすいが、現代社会において多くの独身の若者も親と同居している。
親と同居という居住形態は、若年無業者のみの特徴ではなく、現代の若者一般のライフスタイルなのである。

本トピックスでは、NPO法人育て上げネットが実施した調査研究『若年無業者白書~その実態と社会経済構造分析~』を基に、無業の若者について
・求職活動を行っている「求職型」
・就業希望はあるも求職活動は行っていない「非求職型」
・就職希望を表明していない「非希望型」
に分類した調査研究結果をご紹介しています。

無業の若者は誰と暮らしているのだろうか。図「無業の若者全体の同居の状況」は若年無業者の同居状況を明らかにしたものである。これをみると、77%が「親と同居」であり、「一人暮らし」15%・「兄弟・親族と同居」2%・「その他の同居」6%となっている(「その他の同居」とは配偶者や子どもとの同居状態を指している)。

無業者の同居の状況

親との同居が77%という数値は社会一般からみて特別に大きい数値なのだろうか。この数値を比較する一般的なデータとして、国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(独身者調査)」をみると、18~34歳の独身者で親と同居している者は、男性69.7%・女性77.2%(2010年)となっている。就業状況別に細かくみると、「男性69.7%・女性77.2%」を下回っているのは男性・女性ともに正規職員である場合のみである。無職・家事・パート等非正規に限ると、男性・女性のおよそ80%が「親と同居」となっている。
こうしてみていくと、「親と同居している」という実態は、若年無業者のみに特徴的な現象ではなく、現代社会において一般的な(独身者の)ライフスタイルとなっているようだ。

社会保障人口問題研究所

次に、同居状況ごとの3類型構成比をみる。図「同居の状況」によれば、「一人暮らし」で求職型が54.7%・非求職型が26.2%となっており、求職活動を実際に行っている無業者が多い。一方、「親と同居」では求職型が37.9%に対し非求職型が40.4%となっている。
一人暮らしにおいて求職型が多い、親と同居において非求職型が多い。このことは意外な事実ではないかもしれない。しかし、イメージで語られやすい若年無業者について、「おそらくこうだろう」ということを定量的なデータによって確認すること、このことに意義があるのではないだろうか。

同居状況と3類型

執筆:育て上げリサーチ
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