2020年02月04日
2019年若年無業者数 3万人増の74万人に
最新の若年無業者数は、74万人(2019年速報)
2020年1月31日に「労働力調査(基本集計) 2019年(令和元年)平均(速報)結果」が発表された。若年無業者数は、一般に本調査の「①15歳~39歳の、②非労働力人口(就業者、完全失業者以外の者)のうち、家事も通学もしていない者」として定義される。注意が必要なのは、完全失業者を含んでいない点で、つまり求職活動をしている人はここでいう若年無業者数に含まれない。
その定義に基づいて算出される若年無業者数の推移は以下の通りである。2019年の若年無業者数は、74万人で、2018年から2019年にかけては、3万人増えていることが判明した。
なお、集計は以下の表をもとに算出した。労働力調査基本集計 第I-2表「就業状態・従業上の地位・雇用形態(非農林業雇用者については従業者規模)・雇用契約期間・主な活動状態・農林業・非農林業・世帯の種類・世帯の家族類型,年齢階級別15歳以上人口」
増えたのは15歳~24歳の年代層
上記グラフを見ると、2018年から2019年にかけてグラフが上向きになっているが、より詳しく見ると、それはよりグラフの下の方、若い年代層の増加が原因だということが分かる。
若年無業者3万人の増加は、15歳~24歳の年代層で起こっている。15~19歳は7万人から9万人に、20歳~24歳は14万人から15万人に、それぞれ増えている。
一方で、他の年代層はほぼ変わっていない。
どんな変化があったのか?
どのように若年無業者が3万人増えたのか、それを推測するのに使用できる統計データが同じ労働力調査に存在する。それは、同じ世帯員に対して2か月続けて同じ調査を行い、前月と今月で状態がどう変わったかというデータである。
当該データである労働力調査基本集計「第I-7表今月及び前月の就業状態・農林業・非農林業・従業上の地位・雇用形態(非農林業雇用者については従業者規模),年齢階級別15歳以上人口」を見た結果、以下のようなことが分かる。
※なお、本表は15歳~34歳という単位で集計されている。
【表から読み取れる若年無業者の変化】
①前月から引き続き、翌月も若年無業者である人が2018年では38万だったのが、2019年では40万に増加。
②前月で若年無業者だったが、翌月完全失業者になった人が、2018年では3万人だったのが、2万人に。
③前月で完全失業者だったが、翌月若年無業者になった人が、2018年では2万人だったのが、3万人に。
④その他の変動(例えば、就業した若年無業者の数や、学生から若年無業者になった人の数等の変化)はほぼ見られない。
本調査の若年無業者は定義上、非労働力人口であるため、求職活動をしていない人たちである。働く意思を持ち、求職活動を開始すれば、それは「完全失業者」になったということを意味する。
それを踏まえると、上記の②は、若年無業者の中で、「就業意思を持ち、求職活動を始めた人」が減ったということである。
以上のことを踏まえると、
■ 無業状態から動き出す人が減っている。
■ 求職活動を止めて、無業状態になる人が増えている。
■ この2つが15歳~24歳という年齢層で起こっている。
ということが言えるだろう。
今回の労働力調査の発表では、下図のように、完全失業者数が減っているなど、「良い傾向」が見られているようだが、若い世代の無業状態が固定化傾向にあることは問題だと考える。
景気変動等の影響を強く受けるであろう若者を取り巻く状況については、特に今年、注視が必要だ。
(執筆:育て上げリサーチ)
育て上げネットでは、若者の問題を個人的問題に帰結せず、社会全体で解決すべきであるという認識を広め、セクターを超えた課題解決のための担い手を増やすことを目指しています(若者支援の「生態系創出」と呼んでいます)。
その一環として、当サイト「育て上げリサーチ」では、若者の現状や若者就労支援について、データに基づく情報を広く一般に届けることで、より多くの人に若者の問題やその支援について関心を持って頂きたいと考えています。そのため、普段若者の支援に関わる方のみならず、「広く社会課題に関心がある」「若者を取り巻く環境を知りたい」といった市民・企業・行政・大学等研究者の方々も読者として想定しています。