2015年03月10日
なにがきっかけで若年無業者になるのか
~支援期間へ来所する目的は「働く自信をつけたい」が5割と最多~
若年無業者の多くは、「働く自信をつけたい」との理由で支援機関を訪ねる。かつて従事していた仕事で、身体的・精神的不調や、上司などの人間関係でつまずき退職した若者は、働く自信を失い、求職行動を行わなくなる傾向がある。
世間一般で言われているように「甘えている」「なまけている」だけだからと叱咤激励するのではなく、自己肯定感を取り戻す機会を提供することが必要である。
・求職活動を行っている「求職型」
・就業希望はあるも求職活動は行っていない「非求職型」
・就職希望を表明していない「非希望型」
に分類した調査研究結果をご紹介しています。詳しい定義はこちらをご参照ください。
職歴の有無をみると、若年無業者全体では2割、非希望型では4割の人が「職歴なし」である。また、正社員経験のある人は若年無業者全体では3割、求職型では4割を占める。2012(平成24)年の「就業構造基本調査」(総務省統計局)によれば、15~39歳までの雇用者(役員を除く)のうち、正規の職員・従業員割合は71.0%であり、無業者における正社員経験率の低さがうかがえる。
無業者はなぜ就労につまずき、求職活動に至らないのだろうか。その手がかりとして、支援期間へ来所した目的をみると、求職型・非求職型・非希望型のいずれも「働く自信をつけたい」がもっとも高く、全体で51%、求職型で48%、非求職型で63%、非希望型で34%となっている。特に非求職型ではその高さが目立っており、働きたいと思っていても、自信の喪失が具体的な求職活動を阻害していると考えられる。
次に、「働く自信をつけたい」を来所目的として選択した人々の退職理由を見てみると、「精神的不調」「身体的不調」といった体調の理由と、「その他の人との人間関係」や「上司との人間関係」「同僚との人間関係」といった人間関係の理由が上位を占めている。心身の不調による退職と、人間関係による退職で、働く自信が失われており、再度働くためにもう一度自信を取り戻したいと考えているのが実態ではないだろうか。
支援者や家族は、世間一般で言われているように「甘えている」「なまけている」だけだからと叱咤激励するのではなく、自己肯定感を取り戻す機会を提供することが必要と考えられる。