2015年05月10日
若年無業者の保護者は、いつまでなら「なんとかなる」と思っていて大丈夫なのだろうか?
若年無業者の子どもを抱える保護者が支援機関を訪れるとき、保護者はどのような想いを抱えているのだろうか。
データ上、保護者は「何か(誰か)の力を借りないと難しい(57.46%)」と感じて支援機関を訪れている(『 ひきこもり、矯正施設対処者等みずから支援に繋がりにくい当事者の効果的な発見・誘導に関する調査研究)』、p45)。おそらく、保護者としてできることを一定期間実行したが状況が改善されなかったため、「このままでは……」と、切実な思いで支援につながっている感情が想像できる。
その一方で、「(子どもの状態は問題だが)なんとかなるだろう(37.69%)」と答えている保護者もいる(同前)。子どもの状態を楽観的にとらえているとも取れるし、あるいは「子どもにあまり関わりたくない」と考えているのかもしれない。保護者の精神的安定を保つうえで、「なんとかなるだろう」と考えることは必ずしも悪いことではない。しかし、同調査では、「何か(誰か)の力を借りないと難しい」と考えているよりも、「なんとかなるだろう」と考えている家庭の当事者ほど、社会的ブランクが長期化しているというデータが示されている。
子ども側の心情と行動を見てみると、その半数は半年までに実際に行動しようと考える。しかし、実際に行動できる人は3分の2程度。行動しようと思ってはいるものの実際に行動するにはいたっていないのだ(同前、p28)。
学校・仕事を離れて半年までに行動しようと思う人が45.6%。
実際に半年までに行動した人は34.3%。
社会的ブランクが1年を過ぎるころになると、行動しようと思った人数よりも実際に行動した人数のほうが多くなってくる。つまり、多くの人は半年までになんとかしようと思い、実際に1年を過ぎたあたりまでに行動しているようだ。
そう考えていくなら、保護者が「誰かの力を借りなければ難しい」と考え、支援機関利用を考えるのも、子どもが「行動したいけれど実際に行動できない」と思っている半年〜1年の間が適切だと言えるのではないだろうか。
これは、「社会的ブランクが1年以上のケースは就労まで時間がかかることが多い」という支援現場の実感とも一致している。