育て上げネット

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2014年11月10日

2014.11.10 Journalismに掲載いただきました。 


朝日新聞社のメディア研究誌 「Journalism(ジャーナリズム)」 に、育て上げネット理事長 工藤啓が寄稿させていただきました。

こちらから原稿全文をPDFでお読みいただくことができます。
https://www.sodateage.net/delivery/Journalism_kudokei.pdf

(特集) どうする 格差社会ニッポン
「若年無業者」は格差社会の表れ 社会・家族・NPO連携で就業の道

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日本社会は、若者を社会で支えるべき存在として位置付けてこなかった。不安定な状況で労働市場に留まっている若者や、社会との接点を失った若者の存在を、1990年代には「フリーター」や「ひきこもり」、2000年代に入ると「ニート」や「ワーキングプア」という言葉で捉えてきた。しかし、若者が置かれた環境や状況は棚上げされ、「働かざるもの食うべからず」の言葉が「働かない若者」に突きつけられる結果となっている。

若年無業者を個人の問題として放置した場合、私たちの社会にどのような影響を与えるのであろうか。12年に厚生労働省が公表した「生活保護を受給し続けた場合と就業した場合の社会保障等に与える影響について」という資料がある。その中で、若年無業者が25歳から65歳まで生活保護を受給し続けた場合と、納税者であり続けた場合の社会保障費にかかるコストギャップ(コスト差)が約1億5千万円と推計されている。
その根拠を概算で見てみよう。25歳の若者が就労によって得る生涯賃金は2億円から2億5千万円程度とみられる。そのうち税・社会保険料を約8千万~1億円納め、逆に医療や介護、年金などの社会保障給付を約4千万~5千万円受け取るので、ざっと5千万円を社会へ納めることになる。一方、生涯にわたって生活保護を受給した場合の社会の負担金額は約1億円。つまり、25歳の若者が生涯働いた場合と働かない場合とのコストのギャップがおおむね1億5千万円と推計されるわけだ。

「無業社会」とは、誰もが無業になりうる可能性があるにもかかわらず、無業状態から抜け出しにくい社会である。脱却の難しさの背景にあるのは、個人が社会的に抱える課題が単一ではなく複合的であり、かつ、成育歴に基づく部分が少なくないことだ。文化風土的にも若い世代を支援対象として認知してこなかった日本では、若年無業者への支援に関する調査研究やエビデンス(証拠)に基づいた支援手法が確立されてこなかったこともある。
しかし、働けない若者の実情や支援活動が本格化した2000年代初頭から10余年が経ち、解決の糸口がおぼろげながら見えてきている。ここでは、小さな糸口ではあるかもしれないが、支援現場では比較的合意された解決のための提案を三つ挙げてみる。
(2014年11月10日発行 朝日新聞社「Journalism」より抜粋) 


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