保護者相談支援スタッフのがこです。
私事ですが、実家がゲリラ豪雨で結構な被害を受け、天災の恐ろしさを感じています。
また大きな台風が近づいていて、一層、防災意識を高めているところです。
さて、今回は私たちへ相談にいらっしゃった方の事例を中心に、いわゆる不登校状態にあるお子さんの「自立」について書きます。
考えられることはやり尽くした
今回ご紹介するのはNさん。
私たちがご家族とお会いした当時、Nさんは中学3年生の1学期を迎えていました。
小学生の頃から不登校状態にあり、中学進学のタイミングで復帰を考えていましたがそれも最初の数日まで。その後は登校していません。
家にいるNさんは日中ゲームばかりしていて、家から出ることもないし、会話もほとんどありません。
フリースクールなど、学校以外の形で社会とのつながりを作ることも考えましたが費用もかかるし本人も行きたがらないとのこと。
このまま、この子は高校への進学も働くこと考えず、ひきこもり続けるつもりなのだろうか…
考えられることはやり尽くし、八方ふさがりで家族は不安が募るばかりのように私たちには見えました。
身近なとこから一歩ずつ
私たちは、Nさん家族の課題を学校に行かないことを中心に据えず、その後の自立について考えることにしました。
不登校という状態にあると「学校に行かなければ将来がない」と考えがち。たしかに、学校には自立のための力をを身につける機会があります。しかし、それは学校に行かなければ自立できないという意味ではありません。
当時、Nさん家族には「料理を作ってもらいませんか?」とお伝えしました。
それは自立するためには家事ができたほうが良いということもあるのですが、狙いは「家族の料理を作る」という家の中の役割を持たせることでした。
最初はしぶしぶ料理を始めたNさんは、次第にレシピを調べるようになりました。すると家庭内の会話が増え、周囲の声に耳を傾けるようになっていき、Nさん自身が私たちのところに相談に来るようになりました。結果的に通信制高校に進学することを選び、不慣れながらも頑張って学校生活をしています。
"料理"はNさんの何を変えたか
料理をするようになっただけでそんなにうまくいくもの?
そう思われる方もいらっしゃると思います。
Nさんの事例で重要なのは、料理を通じて「家の中に役割ができた」ということです。
私たちが出会った若者のうち、半数以上の方が「どうにかしなくてはいけない」と状況打開の意識があることが分かっています。しかし、日々の生活に生きがいがないと「何もしていない。生きている価値がわからない」という自責の念が強く、前に進むエネルギーを失わせているケースがあります。
料理を担うことで「家にいても良い」という意識が強くなり、気力を蓄えることができるようになったのだと考えています。
学校がすべてではない
目の前で起きている「学校に行かない」ということを中心に捉えてしまうと、むしろご本人の悩みや苦しさが見えにくくなってしまうかもしれません。学齢期の期間ではどうしても「学校に通う」ということにこだわってしまいがちですが、もっと大切なお子さんの「自立」に向けてやれることを考えてみませんか?
自立するための力を身に付けるのは家の中でもできます。ご家庭だけでの解決が難しいように感じたら、結の相談員といっしょに考えます。
セミナーでは事例も含めて自立に向けたポイントをお伝えしているので、そちらもご参加してみてくださいね。
母親の会「結」
相談員 がこ
母親の会「結」についてはこちら
ビデオ通話を使って相談できるオンライン結はこちら
お問い合わせはこちら