男児四人の動きが活発化してきて、病気よりも怪我と破壊のリスク値が右肩あがりの工藤です。それを書いている最中に、三男が発熱しました・・・
既に広く知られている「休眠預金」ですが、法案(民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律)が成立し、休眠預金等活用審議会での議論も進んでいます。
現在、審議会において基本方針策定に向けた主要論点に沿って議論があり、40を超える団体のヒアリングもあり、それらを踏まえた「中間的整理」を終えました。9月20日から順次地方公聴会が開かれ、先日、大阪で開催された地方公聴会に専門委員として出席をしてきました。
100名に迫る参加者が集まるなか、闊達な意見交換や質疑が交わされ、さまざまなステークスホルダーの関心事項も見えてきたところです。[1]休眠預金等を活用して社会課題の解決の促進にかかる関心、[2]資金を拠出と監督・伴走を担う資金分配にかかる関心、そして、[3]その他の関心に大別されます。
[1]については、資金使途(助成、融資、貸付など幅広く想定されています)のなかでも革新性やイノベーティブでなくとも、地域で地道に行っている活動にも目を向けるべきという意見や、団体の透明性やガバナンス、きっちりとした評価を行える体制整備と人材育成にかんする意見がかなりありました。
休眠預金の性質を考えれば、既存の行政との契約以上に透明度高い状態が必須になりますが、そのためには基盤整備やキャパシティビルディングが必要な場合、そこにもしっかりと配慮をすべきという話があり、それは審議会でも議論されているものです。
[2]についても比較的類似のものですが、資金の出し先を選定するにあたっては、個別の社会課題を理解し、解決に向かって事業が進むよう伴走していくプログラムオフィサー的な役割の人材採用と育成が必須であり、[1]と同じよう基盤整備やキャパシティビルディングを中長期的に考える必要性の話はかなり多くありました。
それ以外にも非常に示唆に富む意見があり、米国の事例を持って休眠預金の一部を運用し、その運用益でより大きな活動ができないだろうかというもの。資金拠出と伴走支援を同時にやることは運用面で課題にぶつかる可能性があり、そこはわけるべきではないかという意見もありました。また、資金分配団体はエリアごとの配置に限定せず、特定課題や専門性を見ていく「エリア」×「専門性」の面で見ていく提案は、僕も点や線だけでなく、諸課題を面や立体的に解決していくうえでも賛同するものです。
何度かコメントもさせていただきましたが、特に休眠預金等の活用については従来行政の縦割りや、公契約ではなし得ない課題の解決にチャレンジしていくことが理念のひとつになっていますので、「複数年契約」「ブラックボックスアプローチ(成果連動型で仕様書にしばられない自由な活動)」「(一部)先払い」、コレクティブインパクトを可能にする資金仕様使途の柔軟性などがあります。政策の狭間を埋めることや公契約の見直しにつながることもまた小さくない成果の一つになり得ると考えています。
これから先も審議会や公聴会がありますが、物理的にそこにいることができなくとも、ウェブを通じて意見提出をすることもできます。ぜひ、広く多くの方々から忌憚のない意見を集約し、よいものにしてけるよう微力ながら努力します。
理事長 工藤 啓