今回は結を利用した方からのお話をレポートにまとめました。保護者の視点から、お子さんがどのように変化をしたのか、結を利用するに至った経緯をまとめています。今回は大学進学が思わぬつまずきとなった19歳のお子さんを持つお母さんのお話です。前編はこちら
=前回までのあらすじ=
「手のかからない子ども」として心配なく育ててきたものの、大学での友人作りのつまずきが生活を大きく変えてしまった。学校にも通えなくなり、体調も崩してしまった息子はひきこもり状態となってしまう。半年の空白を経て、お母さんが動き出します。
母親の会「結」との出会い
もうどうしたらいいかわからなくなり、相談できるところをネットで探していたところ、母親の会「結」にたどり着きました。相談員のきたさんから「見舞っているだけでは状況が悪化してしまいます。親として、どう本人を動かしていくか一緒に考えていきましょう」と言われました。不安で押しつぶされそうだった私は「一緒に考えていきましょう」という言葉に救われました。
きたさんは「一ヶ月様子を見て、それでも気力のなさが続くようだったら一度でいいから一緒に病院に行ってほしい」と息子に伝えました。一ヶ月後、以前は断られた病院に行くことに。医者からは「うつ状態」と診断を受けました。
「マイナスな感情を受け止める」
「結」で相談する中で、息子に叱咤激励をしたことは、単に自分の「不安」を本人にぶつけていただけだったこと初めて気付きました。きたさんから「マイナスな感情を受け止めること」を教えられ、まずは息子の話を聴くように意識を変えていったのです。息子がやりたいこと、好きなことを一緒にやるようにしていくと、徐々に息子との間で自然な会話ができるようになっていきました。
「一緒に考える」から、ひとりじゃない。
息子は「もうレールから外れてしまった自分はダメな自分だと思う」と話してくれました。「ダメだと思っているのね。私も二十歳前には自分の考えが定まらず苦労したのよ」と自分の過去の失敗なども含めて素直話すようにしました。そういうコミュニケーションをつづけていくことで「悩んでいるのは自分だけではない」と感じさせ、「何もしていない状況が辛くなった」と徐々に意欲を取り戻していきました。
再スタートは「自分の意志」で
息子は「これからは自分が陥ったこの苦労を何かに役立てたい」と心理学を学ぶことを目指して受験をやり直すことにしました。第一希望は落ちてしまいましたが、心理学部への入学が決まり今年の4月から新たな大学生生活を始めています。友人と遊びに行ったり、サークル活動を始めて生き生きとしている息子に安心しつつも今後もマイナスな言葉を受け止めるということを心掛けようと思います。
大学でのつまずきは「中退」というマイナスを生み出してしまったかもしれません。けれども、それを受け止めてくれる保護者がついていることで、次に一歩踏み出すことができたのではないでしょうか。結にはさまざまな方が相談にいらっしゃいます。今後もレポートとして、みなさまにお伝えしてまいります。