あの学校には通いたくない
中高一貫校に通う17歳のユウマ(仮名)さんは、入学後から部活と勉強を両立し、学生生活を楽しんでいました。しかし、中学3年になると少しずつ成績が落ちてきます。勉強がうまくいかなくなるにつれ、部活でも仲間と意見が対立することが増えました。
夏休み明けから学校を休みがちになりました。なんとか高校に進級するも、ゴールデンウィーク明けには部活を退部し、不登校になりました。
そのまま夏休みが過ぎた9月1日、ユウマさんが両親に伝えたのは「あの学校には通いたくない」の一言でした。
その時点でユウマさんは、高校を退学することを心に決めており、自室からほとんど出て来なくなりました。
通いたくないのは学校ではなく「あの学校」
ユウマさんの状況に心を痛めた母親は、さまざまな相談機関を利用しました。育て上げネットの子どもの将来窓口「結」の情報も持っていましたが、民間で、聞き馴染みのないNPO法人に相談することには不安を感じていました。
結では「公式LINE」を持っており、登録は自由で、こちらから個別に相談を持ち掛けるようなことはありません。さまざまな講師を招いたイベントや、Youtubeでのセミナーなどの情報を見ながら、ユウマさんの母親はときどきそれを視聴していたそうです。
ほどなくしてユウマさんの母親は、結のオンライン相談を利用されました。個別相談を通じて、少しずつ母親はユウマさんと会話の糸口を見つけ始めました。そして、高校を辞めたいという言葉の背後には、学校そのものから離れたいのではなく、「大学には進学したい」気持ちがあることがわかりました。
ユウマさんは、学校に通いたくないのではなく「あの学校」にはもう行きたくなかっただけなのでした。
ゲームか、勉強か
高校を退学したユウマさんは、通信制高校に編入し、高認取得を経て大学に進学する道を選んだのです。当初は通信制高校を知らなかった両親も、通信制高校について学び、自宅から一番近い学校を、家族で前向きに選びました。
編入後は、それなりに学校に通っていたユウマさんですが、しばらくすると部屋にこもりがちの生活に戻ります。学校のレポートに手を付ける気配もなく、母親には「また学校を辞めてしまうのではないか」という不安がつのります。
レポートについて話をしたい母親ですが、話かけても無視され、不機嫌になってしまうユウマさんとのコミュニケーションは成立しません。ただ、ずっとひとりでいるわけではなく、部屋からは誰かと楽しそうに話す声は聞こえます。
ゲームを通じて、他者とのつながりを持ってコミュニケーションをしているユウマさんに、「ゲームよりも勉強のことを話したい」という母親でしたが、相談員からの提案でこう話しかけてみたそうです。
「ゲームは、どんなところが面白いの?」
少し驚いたユウマさんですが、母親の質問に対してこんな話をしてくれたそうです。
「ゲームを通して社会を学べるんだよ。学校の先生や会社員のひとなど、本当にいろいろなひととかかわれるんだ」
「ズルすれば仲間から拒否されるけれど、僕は信頼されているようなんだ」
ユウマさん本人から意外な話を聞いて驚いた母親ですが、それからは、ゲームそのものを否定するのではなく、ゲームでどのようなことが学べるのか。どんなひとがゲームをしているのかという会話をするなかで、ユウマさんとの関係もかなり修復されてきました。
ゲームはユウマさんにとって重要なツールであることを母親が理解を示すようになった頃、ユウマさんもまたレポートの提出期限を守るようになり、学校にも行くようになりました。
卒業見込みも立ってくると、ほどなくしてユウマさんは大学受験を始めます。ゲーム仲間からは、「いまは受験頑張れ」と声をかけられ、ときには勉強のアドバイスももらうようになったということです。現在は、来年の合格を目指して、ゲームは息抜き程度、毎日、受験勉強に励んでいます。
ゲームか勉強かをユウマさんに迫りかけた母親ですが、ユウマさんにとってのゲームとは何かに関心を示し、よき理解者として見守り続けられたこと、本文には出てきませんが、ユウマさんと母親の傍で、同じくユウマさんを見守ることに徹した父親の姿もあります。
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育て上げネット
理事長 工藤 啓