もっと早く知りたかったです
対人支援分野にいると、「もっと早く知りたかった」と言われることがあります。こちらは情報発信に努力を重ねていても、特定個人に届けられるかどうかはわかりません。
家族や友人、知人などを経由して教えてもらうことや、なんとなく検索していたら見つかったとか、メディアで知ったなど、情報を届けられるかどうかは努力と運のどちらもが必要です。
その意味では、動画やSNSを使って情報そのものは届けやすくなっているので、チャネルは広がっています。多様なチャネルをうまく活用するのは努力の範囲ですね。
そういった努力と運に左右されやすいところはありますが、少しでも運に左右されない方法として、若者と直接出会えるというのは大きな価値があります。
社会に開かれた教育課程
2020年度から高等学校においても新学習指導要領等が年次進行で実施されています。その理念には「社会に開かれた学習過程」が掲げられ、その実現のために学校現場では、社会や地域との連携・協働や、外部のリソースが活用されるようになってきました。
育て上げネットでは、2006年頃より高校と連携をして、若者との出会いの場を作っています。いまは年間延べ100校近い高校で活動させていただいています。
そのかかわり方は高校によって異なりますが、キャリア教育の一環で講座を実施させていただいたり、学校内に「居場所」を運営させていただいている高校も複数あります。また、先生方の会議への出席や、生徒の進路や生活の相談を受けたり、食糧・生活物資を学校で配布させていただくこともあります。
学校のなかで活動させていただいていても、若者の悩みや困りごとを解決できないことも多くありますが、それでも学校という場にいさせていただくことで、若者たちと直接出会うことができるのは、若者支援団体としては非常に大きな意味があります。
学校で直接若者に出会える意味
学校内の教室や特別な部屋などで若者と出会えることは、若者たちの日常を見て、話を聴けることに加え、多くの意味を見出すことができます。
ひとつには、学校に通学ができていれば、交通費を追加でかけさせることや、通信環境に左右されることがありません。彼ら、彼女らが普段からいる場所ですので、出会うコストがとても下がります。学校に来られない場合に、訪問やインターネットという手段を取ればよいことになります。
学校という場であることから、知らない場所に行くよりも、心理的安全性が高いこともあり得ます。もちろん、学校以外の場所がよいという若者もいます。
ふたつめに、これから先の進路選択がどうあっても、法人の取り組みを知っておいていただけることです。卒業後や中退など、さまざまな選択をしていくなかで、「勉強を見てくれるって言っていた」とか、「キャンプやスポーツ観戦の機会があると話していた」という活動理解が、どこかで役に立つかもしれません。直接会えるというのは非常に貴重な機会です。
みっつめに、若者の姿をいくつかの場面で見られることです。学生という姿のなかでも、教室や部活動、放課後や個別相談の場面で、若者自身もいろいろな役割やキャラクターがあります。ひとりの若者を画一的に捉えるのではなく、多面的に、さらには友だちや先生方の言葉などを含めて理解できるのも、学校で直接若者に会えることの魅力です。
たくさんの若者と出会うために
私たちはたくさんの若者と出会えるように、教育機関、学校や少年院などと連携をしています。そして、それは私たちだけの力ではとてもやり続けることはできません。今年度も、高校での若者支援を知っていただけるセミナーや、ファシリテーターとして学校内で一緒に講座展開をしてくださる講師など、若者に力を貸してくださる方々とともに活動していきます。
下記に、セミナーや講座体験会、ファシリテーター(講師)の養成講座の情報があります。プロボノとして、副業/兼業として、さまざまな形で高校生と一緒に将来を考えてくださる方を募集しています。ぜひ、大切な人生の一部を若者のために、よろしくお願いします。
●セミナー
若者支援の今を知る 「高校生との出会いから始まる若者支援」-支援事例に見るポピュレーションアプローチとその後の展開-
●体験・説明会
若者と社会をつなぐキャリア教育プログラム(マネーコネクション®/ライフコネクション)体験・説明会
●ファシリテーター養成講座
育て上げネット認定ファシリテーター養成講座「マネーコネクション(r)、ライフコネクション編」
育て上げネット
理事長 工藤 啓