正規雇用を目指す方ばかりではないだろう
2019年11月26日に開催された「就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム」で、僕自身が提出した資料(資料6)を見直していました。
資料には大きく3つの項目を掲げています。
1. 生活費や資金の負担が当事者の足かせにならない資金支援を実現してください
2. 社会参加支援は、当事者が参加したい社会とつなぐことを前提にしてください
3. 当事者の多様なニーズに応えやすい柔軟な仕様、予算設計にしてください
内閣府では就職氷河期世代支援加速化交付金が設定され、都道府県・政令指定都市が当該世代に対する交付金活用の申請書を出しました。その後、基礎自治体にも提案申請の機会がありました。交付状況はこちらで見ることができます。
各自治体がそれぞれの地域性に応じて立案した企画が、自治体または民間等の事業者と連携して行われます。コロナ禍の影響で全国的にスタートが遅れたようですが、少しずつ取り組みとともに、対象者への呼びかけがなされています。
正規雇用を目指す方に対する就職支援事業がメインになるだろうな。政府が就職氷河期世代支援を掲げたときから、基本的にはそうなるものと考えていました。
実際、正規雇用としての仕事を得たいニーズが高ければそうなるでしょうし、一方、正規雇用をすぐに目指すひとばかりが対象ではないとも思いました。だからこそ、政府の会議で提出した資料には、「そこだけではない」ことを強くイメージしたつもりです。
立川市でも支援プログラムが始まります
東京都立川市でも交付金に手を挙げてくださり、育て上げネットが事業運営を行います。
事業コンセプトを考えるとき、何を大切にするかを考えました。私たちとしては正規雇用を目指したい方だけでなく、アルバイトから始めてみたい方、就職以外の働く選択肢を得たい方、そして社会と接点を持ってみようという方までいらっしゃるだろうと。
育て上げネットは就労支援NPOです。就労支援は、そのひとにあった「働く」を一緒に考え、その実現に寄り添う行動と考えています。そのため就職だけに特化せず、ゆるやかな「働く」に寄り添うこともしていこうと考えました。
今回、立川市の就職氷河期世代就労支援事業「シャフト・プログラム」では、基本的に完全オンラインでの就労支援事業に取り組みます。コロナ禍の状況では、対面集合を前提として事業設計することは、利用者はもちろん、関係者にとっても大きなストレスとプレッシャーがかかります。
立川市役所の担当課と議論を重ねながら、コロナ禍だからこそこれまで前提とはなってこなかったオンライン型で行うことで一致しました。デバイスや通信環境がない方には貸与します。とはいえ、対面がよい、対面でないとつらいひともいますので、「原則」という形と取りました。
また、利用者は立川市在住、在勤者に限らず、ハローワーク立川やたちかわ地域若者サポートステーション等の施設を活用している方も含めていただきました。利用者の対象範囲を広げることは簡単なことではありませんが、ひとりでも多くの困っている方の役に立つための英断であると思います。
あなた自身を活かせる場とつなぎます
先日、あるIT関連企業の社長さまにご挨拶へと伺いました。本プログラムを利用される方々と企業をつなぐこと、よい機会を提供してもらえるようお願いしました。
多摩エリアには、IT企業に限らず、採用意欲にあふれている企業が多いこと。就職氷河期世代についても「チャンスがなかったんだよね」と、いまからでも十分活躍できるひとはいるよと声をかけていただきました。
年齢ではなくスキルや成長意欲が重要であり、一方、そのような求職者となかなか出会う機会が作れないため、本プログラムに期待しているという言葉もいただきました。
採用期待をかけてくれる企業、就職ではない「働く」選択肢を獲得できるサポート、オンライン環境で無理なく受けられるプログラム、そして、懐深く困っているひとたちと支えていこうとする自治体で、よきネットワークを作り、ひとと場をつないでいきます。
相談はもちろんのこと、いきなりで不安でしたらLINEに登録からでもこの「シャフト・プログラム」利用をご検討ください。
みなさまにあった「働く」を一緒に考え、その実現に向けて伴走させてください。みなさまのお話を聴かせてください。
工藤啓