育て上げブログ

2020年05月29日

仕事は失っていないです。でもつらくて辞めたいです。


新型コロナウィルスの影響で、周囲から仕事を失ったり、収入が減少したりした若者の声が聞こえてきています。育て上げネットでも、ジョブトレを卒業した若者に連絡をしていると、さまざまな不安が出てきます。

ただ、仕事を失っていない若者も多くいます。大きな理由は、小売りや倉庫、介護など、私たちの日常生活を支える職場で仕事をしているからです。

メディアでは仕事や住まいを失うひとたちがクローズアップされ、在宅ワークが政府から推奨されます。しかし、彼らは仕事を失っていないため収入はありますが、「つらくて辞めたい」と言います。

自宅に高齢者がおらず、配偶者もいない。小さな子どもがいない彼ら、彼女らには、さまざまな事情で出勤できない職場の仲間のシフトを埋められないかというお願いがきます。そして、彼ら、彼女らは自分ができることで仲間の役に立てればと、働き続けています。

職場の仲間のために、そして私たちの生活のために。

しかし、疲労はピークに達し、心身は悲鳴をあげています。そのような声なき声を聞くなかで、ある若者が教えてくれた言葉を思い出しました。

「働けなかったときは本当につらかった。でも、働いているいまもつらいんです。それでも、あの働けなかったときには戻りたくない。」

働きたくても働けない状況において、周囲から理解を得られず、自己責任論をつきつけられ、自室から出られなかった若者が、僕らのところに来て、長い時間をともに過ごし、働き始めました。

働くことが楽しいとは言いません。つらいと言います。ただ、真っ白なスケジュール、収入のない日々、将来への不安、動けない自分への葛藤と対峙していた「あのとき」と比べたら、働いているいまのつらさを選びたいと言いました。

働きたくても働けなかった若者が、いま私たちの生活を支える仕事を懸命にしています。そして彼ら、彼女らがつらさで辞めたいと言っています。誰もが少なからず影響を受けているいま、私たちの社会のどこかで懸命に働いている彼ら、彼女らの声はほとんど拾われません。

これから仕事や収入を失う若者が出てきます。企業が採用を絞れば、いまよりももっと働きたくても働けない若者が出てきます。そして、個人のキャリアの「働く」でのつまずきは、その後の人生や、私たちの社会に少なからずネガティブな影響を与えかねない。それを私たちは「就職氷河期世代」と形容されるひとたち(僕もその年代です)から学び、いまの若者を守り、支えていかなければなりません。

育て上げネットでは、認定NPO法人D×P、キズキグループという、日本の若者を支える活動をともにする3団体で、若者の #働くを取り戻す を実現するためのクラウドファンディングを立ち上げました。

3団体合同でのクラウドファンディングははじめてですが、私たちだけでできること、できる範囲は限られており、そこはしっかり担いながらも3団体がそれぞれの知見や経験を持ち寄り、より広く若者を支えていきたいと考えています。

 

【#働くを取り戻す】コロナ時代の若者応援プロジェクト - クラウドファンディングCAMPFIRE

工藤啓


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