こんにちは、家族相談スタッフのキタです。
新たな年号も発表され、お祝いムード溢れる新年度を迎えたように感じています。私たちも子ども・若者の将来を明るいものにできるよう頑張っていこうと気を引き締めました。
ある中学の卒業式にて
先日、都内のとある中学校の卒業式に参列させていただきました。
今回は、答辞を担当したRくんが述べたエピソードの一部を紹介します。
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学校に行くことができない自分は「悪い子」で親に迷惑をかけて心配させている。
そう考えると落ち込む毎日。
まさか、自分が学校に通えなくなるとは思ってもいませんでした。それだけに、自分自身もびっくりして、どうして不登校になったのかもわかりませんでした。
「このままではまずい」ことはわかるけれど、なかなか行動が伴わない。
お母さんから「学校どうするの?」と聞かれても答えることができませんでした。
学校に戻ることを考えると怖くて仕方なかったのです。
あるとき「適応指導教室をのぞいてみたら?」と言われました。
やっとの思いで見学をして、なんとか通うことを決めました。
けれど、いざ、通うとなると、またいろいろなことを考えてしまいました。
「先生は私のことをどう思っているのか?」
「みんなと馴染めるのかな」
そんなことが脳裏に浮かぶと、また怖くなっていきます。
学校に行けたり、行けなくなったりを繰り返し
「また、動けなくなるのかな」と常に思っていました。
ある日、教室を休みがちな私に先生が一言、声をかけてくれました。
「自分のペースで良いんだよ」
その言葉は私の支えになりました。
周りには応援してくれる人がたくさんの人がいることにも気付きました。
休んでも、待っていてくれる友達がいた。特別扱いでなく自然に接してくれた。
それが嬉しかったです。
すると1年間、休まずに通うことができました。
今日、卒業式に出ることができました。
「お父さん、お母さん、これからも迷惑かけるかもしれません。自分のペースで歩きます。だから、もう心配はしないでください。いつも、ありがとうございます。これからも宜しくお願いします。」
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自分なりに考え、不安を克服し前進するRくんの話に涙が止まりませんでした。答辞という緊張する場で自分の過去を話す彼に「良く頑張ったね。これからはきっと大丈夫だよ」と、心からエールを送りました。
不登校に限らず、苦しい思いをしている子の中には、そんな自分よりも周りへの罪悪感や負い目によって身動きが取れなくなってしまうケースもあります。
「なんとかしなくては」という気持ちはあっても、そのエネルギーがなくて行動に移せない状況は、子ども・大人関わらず起きています。
私たちのところに相談にいらっしゃる方が抱えている辛さや悩みは本当に多様ですが、お話を聞いていくうち「なんとかしたいけど、どうしたらよいかわからない」と共通の悩みへと整理されることは少なくありません。
ひとりひとりのペースを大切にしてあげること、見守っているよ、応援していると伝えることで、一歩踏み出すエネルギーを“溜める”ことは自立に向けた重要なことです。
私たちはそんなエネルギーの蓄積のお手伝いも行っています。
なにかお力になれることがありそうでしたら、ぜひお問い合わせください。
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