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オンライン結

2019年01月26日

中高一貫校からひきこもり状態。大学進学までの「時間」を考える


2019年、平成の最後の新年を迎えました。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。結相談員のキタです。

新しい年を迎え、このタイミングでわが子に「今年こそ」動いて欲しいと、変化を求めて相談にくるケースは少なくありません。
とはいえ、魔法のように一瞬で何かが変わるようなことはそうそうありません。
時間をかけながらも、「今年は飛躍の年だった」と皆様と共に振り返っていただけるような時間を過ごせたらなと、平成最後の仕事始めを迎えました。

今回は実際の事例に触れながら「時間をかける」ことについてお伝えします。

布団から出ない息子

当時19歳だったSさんは中高一貫校を卒業してから、1年ほどひきこもっていました。
中学生のときは快活で元気なお子さんだったそうですが、高校に入ってから周囲の「大学受験」のムードについていくことができず、不登校の時期もあったそうです。
「このままではみんなに置いていかれる」と焦り、必死に勉強はしていたものの、その成果は模試にはあらわれず、ついに心が折れてしまいました。

Sさんは受験そのものを見送ることになり、卒業後は家からでない生活を続けていました。
ご家族は「浪人をしている」と思って予備校を勧めたり、大学案内を取り寄せたりしたそうですが、Sさんは布団から出ることすらなく、引き剥がそうとすれば拒絶される日々が続きました。。

「たった1回の模試で…?」

模試の結果が悪かっただけで、これほど行動を起こせないのだろうか、うちの子は甘えているだけではないの…?
Sさんを無理に布団から出したからといって何かアクションがあるわけでもない。
どうしたらよいかわからなくなったご家族は、年が明けた時期に相談にいらっしゃいました。

私たちはまず布団を奪おうとすることはやめて、毎日の声掛けをしてもらうようにしました。
かける言葉は「おはよう」と「おやすみ」の朝と夜の挨拶だけです。

Sさんにとって「布団から出ない」のは怠けているのではなく、安心できる居場所がそこにしかなかったのではないかと考えていました。

3か月ほど経って、Sさんは自然と布団から出てきました。
布団の外で生活する時間が伸び、ゲームやテレビを観て過ごすようになっていきました。
その変化を感じつつも、勉強するでもなく好き勝手過ごすSさんの様子に不安が募るばかり。

お母さまはひとつ提案をしました。

「将来のことを相談に行かないか?」

大学受験をするでもないのなら、一緒に将来のことを考えてくれる人たちのところに行こう。
その提案から、1か月ほど経って、Sさんはご家族と一緒に相談に同席されるようになりました。

ご本人からお話を聞いてみると、勉強は嫌いではないけど文章を考えたり、書くのは苦手。絵や音楽、ダンスのような表現の方が好きだし得意だと感じていると教えてくださいました。
在学中に目指した大学は、自分の気持ちの整理もついていなかったし、自分が得意だと思える芸術的なことと結びつけることができなかったようでした。

<デザイン>を学ぶことができる学校を目指す。
そう決めてからは目標も明確になって、受験に向けてスムーズに進んでいきました。
結果的に2年遅れてですが、Sさんは希望した大学に進学を決めました。

ご家族は今から振り返れば、Sさんの希望や考えを整理せずに受験したとしても、結局、中退していたかもしれないし、ひきこもりになっていたかもしれない。2年かかったけれど、毎日楽しそうに学校に通うSさんをみられたのが夢のようだったと感じています。

周りの進学や就職の時期から遅れてしまうと本人もご家族も不安が募ります。
ただ、つまずいてから立ち上がるまでの時間は人それぞれなので、すぐに一歩踏み出すことができる人もいれば、準備に時間がかかる方もいます。
その間は怠けているように見える場面もあるかもしれませんが、本人は、安心できる場所を確保して、次に進むために心を整理してエネルギーを溜める大切な時間を過ごしているのかもしれません。

魔法のようにパッと変わるのではなく、その緩やかながら変化していくのだということを念頭に寄り添っていただけるよう関係を作っていくことを忘れずに、親子で向き合っていけるように考えられると良いですね。

もし「子どもの将来に不安を感じたら」ご相談にいらしてください、いつでもお待ちしています。


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