育て上げブログ

2018年11月01日

第10期ジョブトレIT成果発表 – ひき肉を炒める前にフライパンをあたためる助言がもたらしたもの –


IT未経験者が集う10期

本日は、ジョブトレITプログラム第10期生による成果発表がありました。ジョブトレITプログラムとは仕事に必要なビジネスマナーやIT業界で求められる基本的なスキルを段階的に身に付け、インターンシップを経験する短期プログラムです。

10期目となる今回は初めて、ひとりもプログラミングに触れたことがないメンバーによるトレーニングとなりました。
全体で4か月のプログラムですが、3か月の段階で学んだことを共有することが本日の趣旨で、明日からそれぞれがインターンシップに向かいます。

IT×ランチ?

冒頭、司会を担当した男性からジョブトレITプログラムの概要を説明してくれました。
この中で特に印象に残ったものを青字にしています。

「ジョブトレITは、プログラミングをがっつり学ぶ印象がありますが、そうではありません。資料を見ていただくとわかる通り、技術以外の部分についても勉強しました。青字がメンバーで特に心に残ったものです」
例えば、会社の仕組み体験では今回、折り紙を作成し、販売して収支を見るというチャレンジを彼らは選びました。
企画と生産、販売と経理で互いの強みと弱みを理解し、協力し合うことを疑似体験することができたと言います。

ある男性は、この「ランチ」が非常に印象に残ったそうです。
料理を普段しない自分にとって、この三か月で最も厳しいとすら思っていたところ、実際にみんなでランチの企画、調理から片付けまでを行うなかで、自分の得手不得手がわかっていれば、役割分担ができることがわかったといいます。
「ひき肉を炒めるとき、いきなりフライパンに入れようとしたんですね。そうしたら(料理経験のあるメンバーから)フライパンをあたためてからがいいですよ、というアドバイスをもらいました。そうしたらおいしくって。できるひと、経験者の助言を受けることは大切だなと」

突然のタスクに立ち向かえ

また、micro:bit(※)開発は、突然、取引先から降ってきたタスクという想定で、納期は半日。
メンバーの誰もmicro:bitを触ったことがないのでできるわけはないと思ったところ、できちゃいました(笑)
実際のタスクはそれほど難しいものではなく、micro:bitを理解して、オーダーされた商品を作るために必要な情報をネットなどを通じて調べていきます。それらを役割分担したところ、なんとか納品できました。

「いきなり依頼が来た想定でも、触ったこともないものでてんてこ舞い。しかも、納期半日(笑)ただ、それでもチームで分担して情報を整理し、とにかくやってみて、できないところを特定して解決していきました。」
そんな経験をしながらチームは成熟していきます。別の依頼者が現れ、お店の売り上げのため、販売情報を自動化し、分析することで販売戦略を考えるシステムを作ることになります。

(※)プログラミングして操れる小さなコンピューター。25個のLED、2個のボタンスイッチのほか、加速度センサーと磁力センサー、無線通信機能がついている。

プログラムから学んだこと

他にもVBAを使いながら、販売情報、会員情報、商品情報を収集し、各会員ごと、季節ごとにワンクリックでデータが出るシステムをくみ上げました。
VBAができるひとにとって、簡易なシステムを組むことはわけがないかもしれません。
ただ、彼らは依頼者にヒアリングをして、どのような情報があったらいいのかを整理し、仕様に落とし込んで開発をする。この一連のプロセスをやりきり、そこでたくさんのことを学んだと言います。

【Aさん】
これまで困難なことや壁を極端に恐れてきました。
就活をするとき、どこも受からないのではないか。この会社を受けてもダメではないか。
極端にネガティブとなり、行動することを恐れてきました。

特にランチはやりたくなかったのですが…
自宅でも料理しているメンバーが率先してフォローしてくれ、間違いなく一番助けてもらいました。フライパンはあたためてからです。

【Bさん】
これまでひとりで考えがち、抱え込みがちでしたが、他者に相談したり、仕事を任せたりすることがどういうことかわかりました。
言語化と伝達する力がまだまだ不足していると認識しており、そこは今後身に付ける能力だと考えてます。

【Cさん】
システム設計のとき「こうなったらいいのに」というメンバーの言葉があり、自分で必要なプログラミングを探し、学習したものをチームに還元したところ、それが採用され、喜んでもらえた。
チームを意識して貢献することに自分のモチベーションがあるということが理解できました。

【Dさん】
自分は優先順位をつけることが苦手で、目の前の細かいことにフォーカスしてしまう傾向があります。
ただ、ここをやらないとチームが動けない、システムを稼働させられないということに直面し、タスクを整理して優先順位を決め、全体が円滑に取り組むとはどういうことかがわかりました。

今後は、周囲とのコミュニケーションを通じて、自分の判断を含めて優先順位をつけてやっていけるようにしたいです。

学びに「遅い」はない

彼らがジョブトレITプログラムに参加したときの状況はわかりませんが、プレゼンの中で、
"最初は互いになかなか意見が言えなかったが、日々のコミュニケーションで少しずつ話し合えるようになった。しかし、言語だけでは共通認識が作り切れず、考えていることをホワイトボードで絵にしたり、担当しているコードをみんなに見てもらうなかで、どんどん意思疎通が容易になっていった"というエピソードが印象的でした。

リーダーシップを取るものもいれば、言いっぱなしの発言を整理して、議事録にまとめ、必要な書類を話している間に作ったものもいたということで、
互いがそれぞれの個性や能力、得手不得手を理解するなかで役割分担をしたらチームでやることの楽しさや、何が大切なのかがわかったと言ってました。

こんなことは基本的なことで、ビジネスパーソンだったらみんな身に付けている。
そんな風に思われますか?
彼らは学校なり、職場でうまくいかないことがあり、上記のような経験をする機会が限定的だったとも話していました。
しかし、今、改めてそういう経験をすることによって、すごく大きな成長を遂げていることが見て取れました。

最近、育て上げネットにはたくさんの企業や人材紹介会社からお話が来ます。
採用難ということもあるのでしょうが、僕自身は彼ら、彼女らの感性や才能をともに育て、相互に納得度が高いマッチングができる機会が多くなっていくなかで、ジョブトレITプログラムを利用してくれた若者たちがより力が発揮できる、生きやすい状況を選べるようになってきたという認識を持っています。

育て上げネット
理事長 工藤 啓


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