長男が小学校に入学したのと時を同じくしてPTA副会長に就任した工藤です。
これまで友人や記事でPTAについて見聞きしていましたが、ついに自分ごとになりました。どうしても「沈黙のチキンレース」が嫌なので、僕でよければと引き受けてしまいます。あの空間と時間は誰にとってもつらいものです。
2010年から8年間、日本マイクロソフト社と協働してきた「若者UPプロジェクト」が一つの区切りを迎えました。聞いたことがないわけがないマイクロソフト社のご担当者からご連絡がきたとき、当時の社屋である新宿のビルで緊張していた記憶がいまも鮮明です。
当初5団体の協働からスタートした若者UPプロジェクトは、約5万人の子ども・若者たちにITスキル獲得の機会を提供してきました。「こんなにもパソコンに触ったことがない若者がいるのか」という驚きと、機会がないだけで就業への選択肢が限定されている現状をなんとかしたいという想いでした。
ITスキルの講習であれば講師を外注していく道もありましたが、持続可能性の議論を経て、就労支援に取り組む支援者がIT講師の技術を身に着けていくことに決めました。それから仲間も増えていき、最終的には全国41か所で若者UPプロジェクトは実施され、全国を4ブロックにわけてサポートオフィスを設置することでフォローする体制となりました。
その過程の中で当時はまだ珍しかったインパクト評価(SROIの手法活用)にチャレンジをしたり、世界各地のNPO/NGOの担当者と議論の機会をいただきました。これだけ長期に渡ってプロジェクトが継続したのも、事業開始から広くたくさんのNPOなどとパートナーシップを結んでいきたいという意を汲んでくださった日本マイクロソフト社の社員の皆様のおかげです。
マイクロソフト×NPOの「若者支援」が成功している理由 (Forbes)
昨年のForbesでは「全国の若者、企業、行政、NPOにとって“課題解決のハブ”となる動きには、日本におけるコレクテクティブ・インパクトの“萌芽”が見てとれる。」と表現していただいたことに、この取り組みの本質は多様なセクターの協働であることを改めて理解することができました。
日本マイクロソフト社の社会貢献事業としての「若者UPプロジェクト」は2017年度を持って終了となりました。そして、当該事業は厚生労働省が設置する若年無業者支援「地域若者サポートステーション」事業に引き継がれることになりました。プロジェクト開始時も「多くの若者に届けられることを目指しましょう」という夢とも目標とも言えない方向性に対して、政策導入実施という形で帰結することができたのは、これまで若者UPプロジェクトに寄与してくださったすべての皆様のおかげです。
NPOと企業の協働において、このステージにたどり着くことができるというのは本当に嬉しいもので、必ずしもそこを目指しているものばかりではありませんが、その成果やあり方が一定の評価をしていただけた証左だと考えています。8年という時間は長すぎるという声もあるかもしれません。それだけこの期間を支え続け、ご一緒してくださったマイクロソフトという企業は本当にすごいなと思わざるを得ません。
私たちも地域若者サポートステーションを6事業所(サテライト含む)を運営させていただいておりますので、今後はプロジェクトを担うひとつの組織として、引き続き、就労支援とITスキル形成の機会を若者に提供していきます。
育て上げネット
理事長/工藤啓