「いきなり正社員になるのは、難しいと思うんです」
就労経験が少ない方や、アルバイトがあまり長続きしてこなかった方、何もしていない期間が長く空いてしまった方が、サポステに来てよくそうお話しされます。
珍しいケースでも、特殊なパターンでもありません。
正社員になるということは、勤務時間は週5日、1日8時間プラス、おそらく幾ばくかの残業がセットになります。場所や路線にもよりますが、もしかしたら満員電車に揺られて片道1時間なんてことになるかもしれません。
自分に出来るんだろうか。働けるんだろうか。
働くことに対して自信が持てない中で、正社員という責任に自分は耐えることができるだろうか。
体力的に持つだろうか。
不安や心配は人により様々。
「だから、アルバイトから始めようと思うんです」
これは就職活動に限った話ではないですが、自分にとってあまりにも高いと思う目標やハードルは、逆に挑戦の意欲を奪うことはよくあります。
後々に財産になるかもしれませんが、失敗や挫折に好んで飛び込む人は「超特殊」だと思いますし、できれば堅実にいきたいものです。
ポイントは
「ちょっと頑張れば、なんとかるかな」
と思えるもの。
いきなり正社員になるのは難しいと思う。だから、まずはアルバイトから働き始めたい。
は、次の目標としては上手な設定だと思います。
だがしかし。
※「アルバイトをして、正社員に繋がるんだろうか」
「アルバイトにどれだけの意味があるだろうか」
「結局また就活をするなら、正社員を目指した方がいいんじゃないだろうか」
「アルバイトを続けたら歳をとってしまって不利になるのではないだろうか」
「でも、いきなり正社員は難しいと思う。だからやっぱりアルバイトから始めよう」
※ リピート
※ リピート
※ リピート
さてここで問題になるのは
「アルバイトをすることの価値とは…」
「いつかは正社員で働けたらいいなとは思うが、給料はいいんで、今は長時間やたくさんの日数働くのは辛い」
という希望でアルバイトを探し、週3日、1日3時間、何か小さな部品を作るようなアルバイトを始めた方がいました。
しばらくしてもう一度会うと
「もう少し稼ぎたい」
と言い出し、アルバイトを掛け持ちすることになりました。午前と午後別の仕事をすることになりました。
しばらくしてもう一度会うと
「掛け持ちもいいが、移動するのが面倒くさい」
と言い出し、1か所でアルバイトをするようになり、週5日働くようになりました。
しばらくして、きっともう一度会うと
「どうせ週5日働くのなら、社員になりたい。正社員の人とあんまり変わらない仕事をしているのに、自分がアルバイトなのはちょっと嫌だ」
と言い出すんじゃないかと(これは予想)思っています。
小さな部品を作るためのアルバイト。と捉えると、確かにアルバイトの価値を見出すのは難しいかもしれません(それはそれで立派な仕事ではありますが)。
ただ、アルバイトでも働き、もっと給料をもらいたい。などの新たな気持ちから次の行動に繋がる循環が生まれる可能性があることには、とても大きな価値があるのではないかと感じています。
給料はそんなにいらない。あまり働きたくない。からのスタートでも、スタートを切れば変化が生まれる。それが例え先に繋がるか現時点ではわからない小さなスタートでも。
唐突ですがイメージはヤドカリみたいな感じだと勝手に思っています。
体が大きくなっていくので、ずっと同じ貝には入っていられない。ちょっと大きな貝にお引越し。かといって、今の自分に不釣り合いな大きすぎる貝だと体に合わない。
仕事ができるようになっていき、体力がついていけば、今のアルバイトでは物足りなくなるかもしれない。もっと働きたいと思うかもしれない。そうなるまでは今のまま、そうなったら次のステップへお引越し。ヤドカリが貝を変えるように。
最初の貝も、次の貝も探します。
たちかわ若者サポートステーション
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