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ちょうふ若者サポートステーションでは保護者の方の相談も受け付けています。
今回のブログは、保護者相談を担当するベテラン相談員の執筆です。
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子どもはかわいいですね。機嫌が良いとまるで天使。といっても天使を育てるのは簡単ではありません。思い通りにならないことがたくさんありますね。
あるお母さんは言います。
――ずっと昔。いくら疲れていても夜中に泣けば授乳、オムツ替えも。いっぱい飲んでも吐いちゃったり。何かやっていても、お腹が空けば泣く、ウンチが出れば泣く。こっちが泣きたくなる。でもあの当時は良かった。
大きくなって手が掛からなくなって。だけどある時から外へ出なくなった。よその子は学校へ行ったり仕事へ行ったりしているのに、どうしてうちの子だけ?私とはふつうに話すのに、肝心なことになるとプイッと自分の部屋へいってしまう。
それからずっと家にいてもう10年以上。どうしたらいい?私の育て方が悪かったのだろうか。夫にはそう言われた。友達と会ってもあの子の話はできない。夜も眠れない。夫は仕事が忙しくて相談できない。私たちは夫の給料で暮らしていられるんだから、私が何とかしないと。そう思って今まで来た。でも自分たちはいつまでも生きている訳ではない。夫の定年後、その先私たちがいなくなったらこの子はどうするんだろう。
あるお父さんは言います。
――子どもとはほとんど話さない。前からそうだった。あの子のことは妻に任せてきた。
子どもは放っておいても自分で生きていくはず。オレだってそうだった。子は親の背中を見て育つという。会社は忙しくて時間との勝負。歯を食いしばってやってきた。
学校へ行かなくなったときは厳しく叱った。でも効き目はなかった。今更オレの出る幕じゃない。
自分たちもたいへん。それが身に沁みているから、子どもにあらかじめ準備させようとするのは当然です。
「こんなたいへんな世の中で生きていくには学歴がいる、いい学校へ行けば良い就職ができてラクに暮らせる」と考える。「学校へ行かないなんて考えられない、仕事をせずに何年も家にいるなんて、どうしたらいいんだろう、私たちがいなくなったらこの世の中で行きていけないんじゃないか」と親が考えるのは当たり前です。
子は大きくなっても家族だから、この子のことは自分たちがよく分かっている、小さい時からずっとそうしてきた。この子が将来幸せに暮らして行けるように私たちが何とかしないと。こう思うお父さんお母さんは、すばらしいと思います。子にとって、自分のことを気にかけてくれる人がこの世にいる、というのはなんて嬉しいことでしょう。
人にはいろんな側面があります。子どもって自分とは違う人間。ふしぎな人間。夫だってふしぎ、妻だってそう。
あの子はこうなんです、夫はこうなんです、妻はこうなんです、とお話しください。そして私はこうなんです、とお話し下さい。秘密は守られます。お話しをするってとてもいいですよ。
まず荷物を降ろしましょう。重い荷物、こんなに重い、ぬかるみに足を取られて泥だらけ、動けません、とお話ししていただけたらと思います。生きていくのは簡単ではありません。この社会は複雑で、いろんな人がいて、いろんな影響を受けます。そもそもそういう社会で生きていくのは親だって子どもだってたいへんなんです。
一生懸命生きてきた皆さん、サポステに来てみませんか。ここで荷物を降ろしましょう。よくやってきたじゃないですか。親も子どもも、まずは荷物を降ろしてラクになって、そうして、『当たり前』ってなんだろう、お子さんが就労に向かうためにはどんな道筋があるのかを一緒に考えませんか?
ちょうふ若者サポートステーションでは保護者の方のご相談も受け付けています。お子さんがサポステに来られるようにするための働きかけ方、コミュニケーションの取り方などを一緒に考えて行きます。
☎042-444-7975(水・日・祝・第3月曜日を除く10時~18時)
<注>本文中のお母さんやお父さんの言葉は特定の方のものではありません。たくさんの相談事例をもとに作成しています。
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