「母子家庭で育ってきました」
「いじめでひきこもってきました」
「年金を払えるようになるために働けるようになりたい」
これは私たちが聞いた若者たちの実際の声です。こういった悩みが生まれる背景には、経済的な困窮が原因となっていることがあります。たとえ“利用無料”だとしても、交通費の捻出が苦しい若者も多く、支援が必要なのに受けられない場合もあります。従来、そんな若者たちに私たちができることは極めて限られていました。
実費負担の法則を打ち破る
「費用を負担できない若者にトレーニングの機会提供」ができるようにと、3年前に作ったのが「若者就労応援パッケージ」です。このパッケージは私たちが提供している就労支援基礎プログラム「ジョブトレ」を約3ヶ月間、無償で利用できます。しかし、生活費だけでも苦しい若者には日々、通ってくるだけの交通費を出すこともトレーニングの参加を妨げる大きな壁になっていました。そのため、このパッケージでは実費負担の法則として、今まで軽視されがちだった交通費の提供を行います。
このパッケージを活用しているのは、単身家庭で親御さんも体を崩している場合、自営の経営が傾き頼る先がない場合など経済的に困難を抱えている若者です。こういった若者がいつ私たちのところを訪れてもパッケージを使えるように維持するには多くの方のご協力が必要ですが、大阪マラソンはその大きな一助となっています。
昨年度の大阪マラソンでは約858万円のご支援をいただきました。これまで、12名の若者がパッケージを利用してトレーニングを受けてきました。就職が決まった方も続々と出てきており、希望を持った生活を取り戻しています。
将来への不安から解放された
パッケージを利用した山崎さん(仮称)が働き始めて報告に来てくれました。スタッフを前に「これでやっと将来への不安から解放された」と安堵するように話してくれました。そんな姿をみられたのは支援の力だけでなく、多くの方のお力添えがあったからこそのものです。山崎さんは働くことで家にお金をいれるようになりました。家族内の生活力が向上することで、好循環へと変わっていくことでしょう。「ひとりの若者が就労する」ということは、周りの方にも希望をもたらすことがあります。その他にも「仕事を始めてからやりたいことが増えた」「いろいろやってみようと思えた」と前向きに話す若者もいました。
「自分でもできることを」
今年度もひとりでも多くの若者にトレーニングの機会を作りたいという思いを持ち育て上げネットのスタッフ13名と卒業生2名が走ります。共に走る卒業生はかつてはひきこもりを経験した”当事者”でした。現在はトレーニングを受けたのち就労、その後もたまの休みに遊びに来てくれています。大阪マラソンへの参加が決まったとき「助けてもらったからこそ、自分でもジョブトレに貢献できることをしたい」とチャリティランナーとしての参加が決まりました。今も仕事の合間を縫って大阪マラソンに向けての練習を重ねています。
育て上げネットは古本や古着、居酒屋やスマホからなどさまざまな方法での寄付が可能です。
若者が社会とのつながりを持ち、希望をもって将来を歩むことができるよう、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。