社会人になってパソコンを使う機会が増えたせいか目が悪くなりました。
自動車免許の更新にあたりメガネが必要になりまして、メガネ屋さんに行ったときのお話です。
僕が行ったメガネ屋さんは、あるアパレルメーカーが事業展開しているメガネ屋さんでした。
接客には感じのいい、少し軽い印象を受けるお兄さんがついてくれました。
これいいねー。
これはチャラいわー。
いいけどちょっと高い。
これはないね。ださい。
なんて店内を荒らし回るように物色し、自分の気に入ったデザインのフレームを見つけ、視力を測ったり、レンズを付け替えたり、メガネがズレないように調整してもらったりする過程で
(お店もしばらくお客さんがいなかったようで、お兄さんがとても暇そうだったこともあり)
接客で対応してくれたお兄さんと世間話を始めました。
「なんか、あれですね、こう、結構あれですか?今日はガラーンとした感じですか?」
「いやー、基本いつもそんなに忙しくはないんですけど、今日は一段と暇ですねー」
なんて話から始まり僕は聞きました。
「お兄さんはメガネ屋さんで働きたかったんですか?それともここのアパレルブランドで働きたくて、たまたま配属がメガネ部門だったんですか?」
するとお兄さんは少しはにかむように笑い
「恥ずかしい話なんですが」と答え始めました。
「実はメガネになんて、最初なんの興味もなかったんですよね。
本当はアパレルの販売員をやりたかったんですけど、どこにも採用されなくて。
で、ここを受けた時も、メガネの部門だったら空きがある。って言われて。
仕事も決まってなかったし、就活も面倒になっていたし、ま、いっか。で働き始めたんです。でも・・・」
そしてお兄さんは、僕のメガネを調節しながら話を続けました。
「不思議なもので、愛着って、沸くんですね」
お兄さんが言うには、洋服と違ってメガネは買ったら終わりじゃない。
レンズの汚れ、ネジの緩み、視力の変化などメンテナンスが必要になるので、1つの商品でのお客さんとの繋がりは洋服よりも強い気がする。
どちらかというと、靴屋さんに似ているかもしれない。
商品に自分の手が加わって携われるのもいい。
常にお店でメガネを見ていると自分もほしくなっちゃって、
なんの興味もなかったのに、今家に何個もある。
というような話をしてくれました。
「もし、アパレル部門に異動の話があったらどうしますか?」
と僕が聞くと
「絶対嫌ですね。このままでいいです。
結果的にはメガネの方で採用されてよかったかもしれない。
そう思えるまでに3年かかりましたけど」
なんて、笑いながら話をしてくれました。
やりたいことを仕事にしたい。
やりたいことでないと続けられない。
そう訴えられる方とたくさん出会ってきました。
それと同時に
やりたいことがわからないので仕事が選べない。
そう悩んでしまっている人ともたくさん出会ってきました。
確かにそうだよな。と思っていましたがそのメガネ屋さんのお兄さんの話を聞いて
やっていたものが思いもよらず好きになる。
続けているうちに興味や愛着が沸いてくる。
そんな可能性がちゃんと自分たちの中にもあることを、再確認させてくれたようにも感じ、それって素敵なことだな。と話を聞きながら思いました。
そんなこんなで気持ちよく会話をしていた僕は、気がつけば「2点目半額セール」の誘い文句に乗せられ、必要もないのにまんまとメガネを2つ購入していました。
興味がないのに始めたメガネ屋さんの店員でも、3年働けば免許の更新のためだけにメガネを買いに来た客に、謎に2本も買わせる接客スキルも身につくみたいです。
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