今年度を迎えるにあたり、複数の事業が消失しました。総合落札方式とひとをひとで支える仕事の相性の悪さ、ルールに対する疑義を以下のブログで書いたところ、とてもたくさんの方々が読んでくださり、行政、メディア、NPO、友人らからメッセージや助言をいただきました。
経営と事業ポートフォリオは組織ごとに違って当然ですが、単年度での入札方式が入った事業のリスクは、これまでのポートフォリオにおける行政事業のリスクを飛躍的に上昇させています。
もちろん、何も手を打っていないという団体はないと思いますが、新たな事業モデルを構築するにはそれなりの時間を要します。今回はそれに間に合ったのか、間に合わなかったのかは、この1、2年で回答がでると考えています。
ひとをひとで支える事業、広くは労働集約型事業でくくられるものですが、一定の事業費や、ひとりに対して何をしたらいくら、という構造は、多くのひととかかわろうと思えば、支援者の人数が必要になります。
コロナ禍を機にオンライン上での支援プログラムも開発、運用していますが、ひとでひとを支えるということによる、ひとりの支援者が使える支援時間が劇的に少なくなったわけでもありません。距離がない分だけ、これまで出会えなかった若者と会える。対面が苦手でも、画面オフやミュート+チャットなど、対面ではできなかったことができるようになったことは重要ではありますが、一人ひとりに伴走する時間は同じか、お互いに慣れるまではむしろ時間がかかるくらいです。
そのような状況下で、PRメンバーが少しずつ進めてくれていたのがYouTubeによる動画配信です。自宅にいても、同じ時間を共有していなくても(アーカイブ)情報を届けられる支援視点は大きかったのですが、ひとつの目標として登録者が増えると視聴に応じて資金がいただけることに、「いつか」届きたいねと。
この「いつか」に対してはすごく急いでいたというわけではなく、目的よりも目標でした。しかし、3月にブログにあるような負け戦となり、周囲にYouTubeチャンネルの登録をお願いしました。
(ご登録いただけるととても嬉しいです!>育て上げネットチャンネル)
そもそも一定の登録者数に達したところで本当にお金が育て上げネットに入るのか、僕はYouTubeの知識に乏しく半信半疑ではありました。しかし、実際にみなさまの登録応援の後、少しずつ収入が発生しました。
その報告をもらったとき、金額よりも、動画を見てくださった方のおかげで、若者を支える仕事でないところで、ひとを支える資金をいただけることに、驚きました。たくさんの個人や企業さまからのご寄付と同じく、活動に使わせていただけるお金があるということが、これほどありがたいものだということを改めて感じました。
さて、先日、某省庁の方々と行政における委託事業と、審査方式について意見交換をしてきました。そこには僕が全然知らない世界があり、また、官僚のみなさんと、現在できそうなこと、すぐには難しいこと。当該部署だけではできないことなど、その仕組みやルールを教えていただきました。
当然ではありますが、ルールを作ったのは人間であり、そのルールに至るプロセスや出来事があります。だからこそ変えられるはずではありますが、どんな事業であっても税金だから安い方がいいよね、という考え方は「ちょっと違うかも」と、この国に暮らすひとたちがたくさん考え、声をあげてくださるのが一番だなという認識です。
育て上げネット
工藤啓