コロナ禍の影響、感染予防の観点から、その理論と実践が対面にあった支援(だけ)の在り方が強く問われるようになりました。
育て上げネットも、職員の在宅ワークと新しい支援の構築に相応のリソースを割くことになりました。日常生活にオンラインが当たり前である職員もいれば、ほとんどオンラインを使わない職員までいます。
本来は対面ができているときから、誰もがオンライン環境でも支援ができるようにすべきであったかもしれませんが、十分な取り組みができていなかったことを反省しています。
そのような対面支援ができないなかでも、私たちは一時的には対面支援の代替としてオンラインを活用することはあっても、それは通過点でしかないことを意識してきました。理由は、対面で十分な知見経験のあるものを、単純にオンライン化しても、よりよいものにはならないからです。
それよりも、オンラインという基盤の上に新しい支援の在り方を構築していくこと。何より、若者や子どもたちがコロナに限らず、対面がよければ対面を。オンラインがよいならオンラインを。そのときの状況や環境によって選択できるようにしていこう。その意識を持ってこれたと思います。
得手不得手はあっても、方向性の一致があることで、得意な職員がそうでない職員を助け、逆にオンラインは不得手でも、対人支援に十分な経験がある職員は本質的に大事なことは何かを言語化して共有する助け合いや共創が見られました。
私たちは自分たちの取り組みが十分でないと認識しています。その一方で支援団体の多くがオンラインでひとを支えることが初めてであるため、自分たちのチャレンジについてウェビナーや日常のコミュニケーションを通じて伝えてきました。その際も、オンラインを対面の代替として行うのは一時的で、その先にはという話を聞いた方々がいらしたかもしれません。
令和2年10月14日、厚生労働省から各都道府県の労働局宛てに「地域サポートステーションにおけるオンラインを活用した支援の積極的な実施等について」という事務連絡が出されました。
“2.オンラインを活用した相談支援等に関する当面の取扱いについて
オンラインを活用した相談支援等については、今後は「感染予防のための対面支援の代替手法」ではなく、「サポステ利用者の個別ニーズに対応するための支援手法」の一つとして位置付けた上で、各サポステの利用者ニーズや地域性等を踏まえつつ、積極的に検討・実施すること。”
事務連絡の中には上記の一文があります。
この事務連絡が現場に降りてきたとき、改めて私たちは、今後の対人支援とオンラインの関係は相手の個別ニーズに対応する支援手法であり、日本の対人支援がどこに向かおうとしているのかが明確になりました。
これまでも相手の個別ニーズという言葉は頻出する当たり前のことだったかもしれません。しかし、対面を前提としたそれから、非対面手法も個別ニーズに対応する当たり前のことになったというのは、意図しない社会の変化に対して、自分たちもまた主体的に変わっていく必要があることを再認識することになりました。
対面かオンライン化ではなく、どちらでも選んで活用できる手法としてどちらもやっていきます。まだまだチャレンジは続きますが、オンラインでの支援に対して否定的な方々には、継続的に議論させていただき、個別ニーズに対応するための支援手法を一緒に作っていけたらと考えています。
育て上げネット
工藤 啓