「新型コロナウイルスが若年無業者のメンタルヘルスや就職活動に与えた影響についての調査」をリリース
私たちは69名の無業状態にある若者にアンケートをお願いした結果、その6割がメンタルヘルスの悪化を自覚していました。そして約9割が就職活動に何らかの影響があり、就職活動を止めてしまった若者は3割です。
詳細にご興味がありましたら、公開したこちらをご確認ください。アンケート回答者にはデバイスや通信回線についてもお聞きしています。
若者に限らず、就職(転職)活動やメンタルヘルスへの影響が広く起こることは想定の範囲であり、そのなかでもハイリスクな状況にある方々もさまざまな調査でわかっています。
少しずつですが社会生活は安定しており、緊急事態宣言時と比べれば、たくさんのひとたちが外に出ています。ときおりジョギングをしているのですが、4月からは立川駅周辺で同じルートを通って観察しています。
金曜日の夜、駅に入るひとも、駅から出てくるひともほとんどいない光景に気分が悪くなった記憶と重ね、ひとはひととのかかわりを求めるものと再認識しています。
そのような日常のなかで、毎月の失業者数や休業者数、企業倒産件数の報道を見る限り、「働くこと」に関しては戻るどころか、どこまで悪くなるのか見えていません。特に就職支援に特化をしていると、採用状況がダイレクトに影響するため、支援する側としてもできることが限られるように思います。
今、就労支援でできること
就労支援は、そのひとに合った「働く」を一緒に考え、その実現に向けて伴走する活動です。その考え方からすれば就職活動は伴走支援の一部でしかありません。改めて「就労支援」を捉え直し、いま私たちができることは3つあると考えています。
ひとつは、そのひとに合った「働く」を一緒に考える機会を作ることです。就職希望の若者には就職活動を応援しますが、現時点で就職以外の「働く」選択肢を広げる時間を作りたい若者もいます。
スイス・リー財団の助成を受けて立ち上げた「はたらくスタートアッププログラム」は、立ち上げて数日で30名の定員が埋まり、ちょうどプログラムの半分が終了しました。全国から若者がオンラインで参加していますが、ある若者は自宅から、別の若者は連携するNPOの場から入ってきています。
さまざまなキャリアがあることを知り、「働く」選択肢を学んでいます。これから選択肢を獲得(「働き方拡張」と呼んでます)する実践に入っていきます。その後、どのような働き方を選ぶのか、その組み合わせも含めて、若者個人の価値観に寄り添います。
ふたつめは、少しずつ対面機会を開きながら、オンラインでも相談ができるようにしています。対面かオンラインかを希望するのは若者であり、こちらはできるだけ選択肢を提示することに努める必要があります。
対人支援の多くは、その理論と実践が対面を前提としていますので、対面で行っていたものをオンライン化するだけでもかなり研修や練習がこちらも必要です。そこから一歩前進して、オンライン基盤上にな「新しい」「ならでは」の方法を構築することに取り組んでいます。
ものすごく革新的なものである必要はなく、平易なところでも効果が見えています。特にウェビナーやワークショップでは、「チャット」をコミュニケーションの中心に据えることで、発言や質問がかなりしやすい。緊張しなくていい。そんな声を直接、たくさん聞いています。
みっつめは、デバイスや通信環境の貸与です。対面支援も質量の面で制約があります。また、物理的に動くことで交通費等のコストがかかったり、そもそも離れた地域だと足を運べません。
社会全体がオンラインに移行をしているようでも、実際にはデバイスと通信環境が脆弱、または、それを保持していない若者は取り残されます。
台数や個数は限られてしまいますが、少しでもそのニーズに応えられるように、引き続き努力をしていきます。
書いてみれば当たり前のことではありますが、個人と環境のどちらにも取り組むことは予想以上に難易度が高いです。支援者もその個人であり、相手も個人です。そしてそれぞれが十分に安全な環境が必要です。
将来の社会を作っていく若者たちが、若者であることを理由に後回しや取り残されるようなことがないようにしていきたいです。そのための応援を、ご寄付をこれまで以上に募っていきたく、ぜひ、若者のために力を貸してください。
寄付についてはこちらをご確認ください。
育て上げネット
工藤 啓