若者支援、広くは対人支援の分野の先行き(予測)を聞かれます。わからないことしかありませんが、少なくても現状は「支援のオンライン化」を進めるしかありません。
社会環境の変化が激しいので、明日には考えが変わっているかもしれませんが、少し前まで当たり前にやっていた対面・対人支援は事実上不可能です。食料やマスクなどを届ける人道支援は別にしますが、支援はオンラインで行うことになります。
支援のオンライン化には課題があります。ひとつは、若者側にオンライン環境がないと何もできません。そのためオンライン環境をいかに提供するかが問われます。ふたつめに、こちらにもオンライン環境が必要です。
在宅ワークとなれば、自宅のオンライン環境を整える必要があります。コストもかかるので簡単ではありません。注文しても製造が追いついてないので届きません。僕が考えていた以上に、自宅のオンライン環境は仕事をするに十分でない。当たり前ですが、想像以上でした。
しかし逆に言えば、課題はこれくらいです。対面の相談をTeamsなどのテレビ会議システムに乗せればできますし、イベントやワークショップ、グループワークも、全部は無理ですが、やれます。やりかたもネット上にあふれてますし。
不慣れは慣れればいいですし、セキュリティ不安は具体的に何(どこ)が不安なのかが言語化できればあらかた解消しそうな気がします。ゼロリスクは無理なのですが漠然とした不安がまだまだある気がします。
既存支援のオンライン化は、ある程度、慣れと経験で行けそうな気がします。既に相談はたくさん来ていて、日々、職員が対応しています。
その一方で、このオンライン化の流れは、コロナウィルス感染問題が社会的にひと段落した後、以前の環境に戻るのでしょうか。僕はそう思いません。むしろ、オフラインとオンラインのどちらかを、若者側が選べる環境は残ります。逆に、これまでオフライン重視で、コロナ後もオフライン重視だと、相対的に提供できる機会が半減するのではないかと考えています。
それを踏まえると、既存支援のオンライン化は必要ですが、それ以上のオンライン基盤を前提とした支援をたくさんやってみて、失敗して、いいものが残せるようにする必要があると考えています。学校の授業をオンライン化するのと、オンライン上で学習できるアプリ(サービス)って、根本的に出発点が違いますよね。あれと同じイメージです。
参考:新しい若者、子どもの「居場所」作り。どうぶつの森、Switch、YouTubeを組み合わせて
対人支援分野では「居場所」の必要性がよく言われます。とても重要です。では、この現状下で、居場所機能をうまく作れるのか。そんなとき上記のような取り組みをしています。たくさんチャレンジします。うまくいかないものは、これはうまくいかないということがわかったという理解に。うまくいきそうであれば、うまくいきそうだなという理解に。
何がうまくいくのかわからないなか、うまくいくかどうかで留まってしまう思考の在り方も理解しつつ、やってみないとわからないからやってみよう、を大切にしていきます。みなさん、たくさん助けてください。
さて、そんなほとんどの職員が在宅勤務になり、育て上げネットはoffice365基盤で仕事をしているのですが、大事なのは「ユーモア」だなと思ってます。ちょっとした絵文字、ちょっとした「いいね!」ボタンでの反応、大げさかもしれないけれどコメントにいれるユーモアなど。
同じ空間にいれば、表情や雰囲気で感情共有ができますけれど、オンライン空間だと主にテキストメッセージだけなので、そもそもロム専(見ているだけ)だといるかもよくわからないですし、反応なければ感情共有もできません。そういうオンライン上でのコミュニケーションにも得手不得手があるなと思いつつ、オンラインMTGで背景を遊んだり、自分の表情を動物やよくわからない物質に置き換えられるアプリを間に挟んだり、そんなユーモアを持っている職員、すごくいいなと思ってます。
育て上げネット
理事長 工藤 啓