先月の労働力調査の速報結果から、2018年-2019年にかけて若年無業者が3万人増えていることがわかりました。そのなかでも15歳から19歳で約2万人、20歳から24歳で約1万人が増加しています。
データ:2019年若年無業者数 3万人増の74万人に (育て上げリサーチ)
企業の人手不足が叫ばれるなかで、若年層の無業化が進みました。つまり、経済好転によって有効求人倍率が高まっても、無業者には影響が少ない(ない)ことが改めて確認されました。
これまで対人支援領域では、困っているひとが相談してくるのを待つ「来訪型」から、積極的に足を運ぶ「アウトリーチ型」も取り入れてきています。
※アウトリーチ型はご本人の希望と同意があって行うべき手法です
ただ、このどちらも困りごと(リスク)が起こってからスタートを切るアプローチになります。難しいのは、ひとは困るほどに相談や解決に向かう余裕がなくなっていくことです。育て上げネットでは、数年前より従前の支援(ハイリスクアプローチ的)に加えて、困りやすい若者や子どもたちがいる場所との連携(ポピュレーションアプローチ的)を進めています。
その連携や協働の在り方を見直し、これまでの情報共有と「何かあったときにつながりを活用する」のではなく、連携先の組織や団体の中で日常的に若者や子どもたちと関わり、就労支援が必要になったときは切れ目なく伴走できるようにしています。
例えば、ある高校では学習や進路指導、キャリア教育などの場面で学生とかかわるとともに、校内でカフェを運営させていただいたりします。そこでは先生とはまた違う立場の大人として学生とかかわるとともに、必要に応じて学校外の場所(育て上げネット)でも支援します。
最近では、大学からも同様の依頼が来るようになり、これまでの連携・協働を越えて互いの組織をまたぐかかわりを作る体制を作ろうとしています。
また、少年院では学習支援やPC講習、金銭基礎教育などを通じて在院少年にかかわっています。そして仮退院が決まった少年で支援を希望する場合には出院前に話をして出院後に、また、出院してから直接連絡をいただくことなどを通じて、少年の更生自立を就労支援の側面から応援しています。
これらの取り組みはまだまだ大きな形になっているとは言えないかもしれませんが、少なくとも、どこにいるのか知り得ない若者に情報を届けることに比べると、情報面からも信頼面からも、若者との出会い・接点を持つことに高い効果があります。
10代、20代前半で無業となる若者が増加するなかで、今後も重要になるのは「出会う」ことです。そのとき従前の取り組みに加え、これから困ることがあるかもしれないし、ないかもしれない若者たちがいる場所に出向く新たな連携・協働の形はメインストリームになっていくと考えています。
理事長
工藤 啓