「私の何が悪いんでしょうか?」
「相談に来てくださったことが、まず第一段階突破です。」
わが子に悩むトオヤマさんとの継続的な相談が始まりました。
息子さんが大学を休学し、ひきこもりはじめて2年。声のかけ方がわからず、今では会話がなってしまったそうです。関係性を元に戻すため、簡単な挨拶からはじめてみてはどうかと提案をしましたが、トオヤマさんは「突然始めたら、おかしいと思われませんか?」と不安に思われました。しかしひきこもる本人たちは「とうとう挨拶もしてくれなくなってしまった、もう見捨てられたんだ」と思っていることもあります。挨拶は何気ないことに思えてとても重要なのですが、トオヤマさんの不安な気持ちもとてもよくわかります。
そこで、唐突過ぎずに挨拶ができる方法がないかと一緒に考え、「“おはよう”と書いた付箋を本人の食卓の席に貼る」ということに決めました。
このようなお母さまの小さな行動の積み重ねが親子間でのコミュニケーション再開のきっかけとなり、数か月後には本人が居間で一緒に過ごすまでとなりました。この段階になって初めて「休学中の大学、どうする?」と本人と話し合うことができました。結果的に、本人の意思で退学届けを出し、働くことを目指して支援機関に通うことになりました。
本人が動けない状況が長く続くご家庭では、親子間のコミュニケーションがこじれているケースが多く見られます。そういった場合、いきなり問題を解決することに目を向けるのではなく、会話ができる関係性に戻ることを目指すことの方が近道かもしれません。遠回りに思われるかもしれませんが、小さな行動の積み重ねが必要です。
親として行動したくても、逆に本人を刺激して、これ以上悪くなったら……と恐れを感じる方も少なくありません。そんなときはトオヤマさんと同じように、実行できそうな行動を一緒に考え、できることを見つけていくことも私たち相談員の役目だと考えています。
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