育て上げブログ

子どもの将来相談窓口「結」

2019年09月21日

ひきこもりを長期化させないためにー「できるだけ早く相談」の意味


最近「中高年のひきこもり」の方を対象にした支援施策を行政・自治体が積極的に行っています。
親子の年齢を引用して「8050問題」という表現をされているものもあります。

こういった表現が世間に広まると「家族で解決すべき問題」と感じておられる方もいらっしゃるのではと気になりました。
今回は私たちがお力になる方法の中で「相談」という手法について、改めてお伝えできればと思います。

”できるだけ早く”の意味

おかげさまでさまざまな場で講演をさせていただく機会をいただきますが、そういった場では「できるだけ早く支援機関に相談する」ことをおすすめしています。

それには理由があります。
「家族で解決すべき問題」と思って対応すると、場合によってはさらなる停滞を生む可能性があるからです。

ひきこもりという状態を変えたいと本人が感じたとき、家族関係の変化が必要となることは少なくありません。
ただ、それがすべてかというとそんなことはありません。

私たちが支援をする若者は自分の状況を「漠然とした不安」と表現します。
その不安とはなにか、時間をかけて紐解き、具体的なものにしていくと「人間関係の苦手意識」や「働くことへの不理解」、「社会への不安」など、家族関係に限らない課題が複雑に絡み合っていることがわかります。

「ひきこもり」という状態は「こうすれば解決できる」という万人にあてはまる答えがありません。
それは、上に書いたように個々人の事由がまったく異なり、また、それが幾重にも絡み合っていることが多いためです。

支援者に相談することは、多様な悩みをもとに「どうしたら今の状態を変えていくことができるか」と絡み合ったものごと整理して道筋をつくっていくことでもあります。

「できるだけ早く」とお伝えするのは、時間の経過とともにそうした「動けなくなる要因」がより複雑になっていくことが予想されるためです。
長期化につれ、自責の念が高まり自信を深く喪失することにもつながりますし、社会的な関係性が着実に薄くなり「孤立」といった不安も強くなっていきます。

相談はもっと当たり前に

10年以上のひきこもりを経験されたご家族が相談にいらっしゃったとき「子育ては親の責任」「誰かを頼るものではない」とお話されていたのが印象的でした。
どうにかしなければとご尽力されたのがうかがえる様子で、お話に来てくださってからも、しばらくは自責の考えを持たれていたように思います。
しかし、親子の抱えている悩みと、その解決のための手立てがはっきりしていくにつれ、少しづつ、考え方は変わっていったように見えました。

「8050問題」という言葉が捉えているように、社会の視線はどうしても「親子関係」が取りざたされ、自分が悪いのではと思われるのかもしれません。
しかし、本当に大切なことは、親子がともに自立して、互いを責めることのない状態を目指すことではないでしょうか。そのゴールに向かうために第三者が関わることは決して悪いことではありません。

「風邪が治らないな…」と感じたらお医者様を頼るように、不安なことがあれば、誰かを頼るのは普通のことです。
「ひきこもり」も同じように誰かに相談することで前に進むこともあります。自力でどうにかするのは難しいなと思ったら、ぜひ相談をしてみてくださいね。

子どもの将来相談窓口「結」
支援スタッフ きた


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